[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](312)

イラスト・いらすとや

 上顎(がく)前突(出っ歯)とは、上の前歯が前に出ている状態で、永久前歯が生えそろう時期に開始する場合と、永久歯が全て生えそろった後に開始する場合が一般的です。

 【永久前歯が生えそろう時期の矯正治療】上下のアゴに問題がある場合は主に、夜間就寝中に下アゴを成長させるマウスピースや上アゴの成長を抑えている間に下アゴの成長を図る帽子、ヘッドギアーを使用します。寝相が少々悪くても大丈夫で、家族以外の人に見られる心配もありません。短期の旅行や体調が優れないときは装着しなくても構いませんが、継続することが大切です。通院は1~2カ月に1回で1~2年、時にそれ以上使用します。

 【永久歯が全て生えそろった後の矯正治療】上下全ての歯にボタンのような装置とワイヤを装着するマルチブラケット装置が主流です。一般的には1カ月に1回、2年前後の通院が必要です。上の前歯が突出していて上唇が出ている場合、安静時や就寝時に唇を閉じることができず、上の前歯を積極的に後退させた方が良い場合は永久歯を抜歯することも珍しくありません。その際、上の奥歯が前に移動しないように、夜間就寝中のヘッドギアーや、最近は歯肉に直径2ミリほどのネジを植え込み、併用します。

 また、極端に上アゴが大きかったり、下アゴが小さい場合は、総合病院の歯科口腔(こうくう)外科や形成外科と協力して、全身麻酔によるアゴの手術と矯正治療を併用する外科的矯正治療が必要になります。特に、下アゴが小さい場合は、夜間就寝中にイビキが止まったりする睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いため、最近は上下のアゴの手術を行う患者さんも増えてきました。

 歯を動かした後は、歯の裏をワイヤで固定したり、マウスピースを使用して歯並びを維持、安定するアフターケアが必要で、3カ月に1回、2~3年前後の通院が必要になります。(山内昌浩 山内矯正歯科クリニック=嘉手納町)