深刻な数字だ。90人近い生徒がいまも、部活動で体罰やハラスメントの被害に遭っているという。早急に問題解決に当たるべきだ。

 沖縄県教育庁が実施した部活動実態調査で、県立高校などの生徒133人が、所属する部活動で「体罰やハラスメントを受けたことがある」と回答した。そのうち88人は、問題がまだ「解決されていない」と答えた。

 ことし1月、コザ高校で運動部主将を務めた男子生徒が自ら命を絶ったことが、調査のきっかけになった。

 男子生徒は部活の顧問だった男性教諭から日常的に叱責(しっせき)され、夜中までLINEのやりとりを求められていたという。

 県教育委員会が設置した第三者調査チームは「クラスや家庭生活で自死につながるほどのストレスは考えにくく、部活動以外の原因は見当たらない」と指摘した。

 県教育庁の調査は、体罰やハラスメントの実態を把握し、部活動の在り方を見直す基礎資料にするために実施された。

 体罰・ハラスメントを受けたとする生徒は全体の2%に当たる133人だった。部員の回答率が36・2%と低いことを考えると、この数字は氷山の一角に違いない。

 現在進行形で体罰やハラスメントに苦しんでいる生徒がいる可能性が明らかになった以上、県は早急に何らかの手を打つべきだ。

 最も大事なのは、自死に追い込まれた男子生徒のような生徒を今後、1人も出さないことだ。

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 調査では、部員と指導者、校長ら管理職の認識の「ずれ」もあらわになった。

 体罰・ハラスメントの「訴えがあった」とした指導者はわずか14人(0・8%)にとどまった。

 さらに指導者、管理職全員が、体罰・ハラスメントの訴えはあったが「解決した」「解決に向かっている」と答えている。

 生徒が被害を訴えられない閉鎖的な雰囲気がありはしないか。指導者に体罰・ハラスメントの認識が乏しいのではないか。検証が必要だ。

 金城弘昌県教育長は、指導者と信頼関係を「感じる」とした部員が8割いたことを引き合いに「全体として良好な部活動指導が行われている」とコメントした。

 だが、自身が課題に挙げているように、信頼関係を感じない2割にこそ注目して、なぜ信頼関係を築けないのか、原因を深く探る必要がある。

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 子どもにも人権があり、体罰やハラスメントで子どもの体や心を傷つけるのは人権侵害だ。

 そもそも体罰は、学校教育法で禁じられている。

 本来、楽しむべきもののはずの部活動が原因で命を落とすのはあまりに理不尽だ。

 沖縄の宝である1人の高校生の命が失われた事実を直視して、2度と同じ悲劇を繰り返さない決意が、大人の側に必要だ。

 体罰・ハラスメントがまだ解決していないと答えた88人へ。どうか信頼できる近くの大人に相談してほしい。