社説

社説[再び緊急事態宣言]危機感の共有いま一度

2021年5月23日 11:57

 新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、政府による「緊急事態宣言」が再び県内に発令された。  

 長引く自粛生活で県民は疲弊の度を深めている。県経済への打撃はかつてない深刻さだ。もはや限界という事業者も少なくない。

 県民にこれだけ我慢を強いているのだから、どのように対策の実効性を高めていくのか。県には「最後の宣言にする」という覚悟で、具体的道筋を示してもらいたい。

 期間は5月23日から6月20日までの約4週間。宣言決定を受けて玉城デニー知事は県の対処方針を発表した。

 酒類を提供する飲食店に休業を要請するほか、県外からの来県自粛、県民に対しては夜8時以降の外出を控えるよう求める。

 既に「まん延防止等重点措置」が適用されているものの、県はこれまで経済への影響を考慮し、酒類提供の自粛要請を見送ってきた。来県自粛に踏み切るのも約1年ぶりとなる。

 22日に発表された新規感染者は231人で、2日連続して過去最多を更新。病床はほぼ満杯で、入院・療養先が決まらない人が700人近くに上っている。

 若い世代を中心とした感染から、重症化リスクの高い高齢者へ波及すれば深刻な事態を招きかねない。感染力の強い変異株の広がりも心配だ。

 県民の命と健康を守るため、より強い措置を取るのはやむを得ない。今はブレーキを強く踏み、高齢者へワクチンが行き渡るまで何とか踏ん張らなければならない。 

■    ■

 緊急事態宣言の発令を政府に要請せざるを得ない状況に追い込まれた、この間の県の対応はちぐはぐに映る場面が多かった。

 4月の県の専門家会議では大型連休前に宣言が必要だとの意見が多数を占めたが、後手に回り、感染が急拡大した。専門家との意思疎通は十分だったのか。

 宣言発令を求めながら酒類提供の停止に踏み切らなかったのも、一貫性を欠いた。

 観光依存度が高い経済だけに厳しい措置では事業者が持たないと判断したのだろう。しかしその結果、効果的な対策が打ち出せず、県民や観光客には分かりにくいメッセージの発信となった。

 県への信頼が揺らげば、対策への理解を得ることは難しい。対策の効果を最大限発揮するためにも、玉城知事には科学的知見に基づく戦略を説得力のある言葉で発信してほしい。

■    ■

 強い措置を打ち出さなかった県を批判する声が政府内から上がるが、そもそも都道府県を越えての人流抑制は国の仕事である。

 沖縄県を含め緊急事態の対象が10都道府県に拡大していることを考えれば、重点措置の限界が露呈したともいえる。

 事業者からは財政支援の拡充を求める声が強まっている。宣言に支援策がセットとなるのは当然のことだ。

 国の2021年度予算に計上されたコロナ予備費は約4兆円残っている。躊躇(ちゅうちょ)せず活用すべきだ。

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