沖縄県南風原町津嘉山の民家からほんのり甘く、香ばしい匂いが広がる。木、金、土曜日限定の壺(つぼ)焼き芋専門店「くり太郎」だ。来間光博さん(61)が定年退職後に夢を追い、手間や時間はかかっても「どうせならおいしい焼き芋を食べてほしい」と昨年10月に、自宅の軒下で始めた。

自宅の軒下で壺焼き芋の専門店を始めた来間光博さん=21日、南風原町津嘉山

壺の口の内側に15個のイモをぶら下げ焼き上げる

自宅の軒下で壺焼き芋の専門店を始めた来間光博さん=21日、南風原町津嘉山 壺の口の内側に15個のイモをぶら下げ焼き上げる

 「いい匂い」。駐車場に車を止めた客が、軒下に引き寄せられてくる。町観光協会のグルメマップに掲載され、フェイスブックなどの会員制交流サイト(SNS)でじわじわと人気が出ているという。

 高さ80センチの壺が三つ。愛知県の常滑焼の特注品だ。

 直径45センチほどの壺の口を囲むように15個のイモをぶら下げる。底の中央に七輪(しちりん)を置き、備長炭でじっくりと約2時間。むらがないようにイモをころころと回し、蜜(みつ)がぽたぽたと落ち始めるころ、ほくほくの壺焼き芋が完成する。1本300~400円。

 イモは茨城県産の紅はるか、シルクスイート、紅まさりの3種。来間さんは「遠赤外線の効果で甘みが出る」と壺焼きの魅力を語った。

 医療関係の仕事を2019年9月に退職。母幸子さんの大好きだった焼き芋の店を持つことを目標に、広島県の専門店の指導を受け、20年4月に壺を買い、同年7月から「焼きの修行」を始めた。

 イモの種類のほか、炭の大きさや天気、湿度によって焼き上がりが違うことから「温度計を確認しながらでも、うまくいったり、いかなかったり」と話す。習得に3カ月間を要した。

 来間島に住んでいた祖父太郎さんの名前を店名に付けた。店のロゴマークは幼稚園から大学までの同級生で元美術教諭の伊元隆一さんがサプライズでプレゼントした。家族に企画書を提出し、開店にゴーサインが出た。「昔ながらの製法で焼いたイモをぜひ」と話す来間さん。月、火、水曜日は畑で農作業に励んでいるという。

 店は南風原町津嘉山514の1。営業は木、金、土曜日の午後2時から午後6時。予約は電話080(4310)3496。