5度目の緊急事態宣言が出されて初日の23日、新型コロナウイルスの感染拡大が続く沖縄県内各地は商店街や行楽地の客足もまばらで静かな休日となった。シャッターが下がったままの飲食店や土産品店も多く、市街地も閑散とした様子。繰り返される感染拡大と自粛生活に、市民からは「感染は怖いが経営はぎりぎり」との困惑のほか「慣れた」という諦めの声も漏れた。
同日午後1時ごろ、いつもは観光客でにぎわう那覇市の国際通りは人通りも少なく沿道は閑散としていた。大阪府から日帰りで観光に訪れた50代の男性は「乗ってきた飛行機がガラガラで驚いた。閉まっている店も多く、コロナ前の沖縄と姿が全く変わっている」と驚いた様子だった。
ゴールデンウイークに観光客が訪れた国頭村の道の駅では利用客が大幅に減り、時折ドライブ途中の車が立ち寄った。沖縄市から訪れた女性(64)は、緊急事態宣言について「慣れてあまり実感が湧かない。普段も特に変わることはない」と度重なる自粛要請にうんざりした表情。「感染対策をしながら自然を見てリフレッシュしたかった。不安は拭えないが家にこもり続けると気持ちが沈んでしまう」とため息をついた。
沖縄市の「沖縄こどもの国」も同日午前の客足は少なかった。同園によると午前9時半から正午の入場者数は357人で、1週間前の同時間帯と比べ約6割減少したという。入り口では家族連れが検温や手指消毒をして、来場者との距離を保ちながら園内に入った。妻、息子と訪れた男性(35)=うるま市=は「迷いもあったが息子と前から約束していたし、屋内よりは安心なので」と来園理由を説明。緊急事態宣言については「遅いですよね」とつぶやいた。
大型連休が明けて感染者が急増している石垣市では市街地の人出は普段より少なく、シャッターを閉めた飲食店もある中で観光客が買い物などを楽しんでいた。商店街「ユーグレナモール」の土産品店の販売員(56)は今後、緊急事態宣言の影響が大きくなるのは避けられないとみる。「変異株が増えるのは怖いが事業者の経営はぎりぎり。観光客が全くいなくなったら困る」と複雑な胸の内を明かした。