2階LDK、3階寝室も“観客席”

家族そろってバスケ好き。「ずっと見ていたいし、ボールに触れていたい」を形にしたG邸。3階建ての室内にコートを設置。2階のLDKはもちろん、3階の寝室まで“観客席”になる。(東江菜穂)

室内に3ポイントシュートが打てる広さのバスケットコートを設けた。息子たちがバスケをしているところを2階のLDKや3階の寝室からも見下ろすことができる。家族や知人は「Gアリーナ」と呼ぶそう。コートの色は大好きな琉球ゴールデンキングスのチームカラーにした(泉公/ララフィルム撮影)

3階建てぶち抜いて

Gさん宅

RC造/自由設計/家族3人+猫2匹

3階建てのG邸。約半分をバスケットコートが占める。「リビングから息子たちの練習を見ていたいので、室内にコートを設けることが第一条件。3ポイントシュートが打てる広さは譲れなかった」

コートを造るのに十分な広さと形の土地を探して購入。建築士探しは「前例がない」と言われ難航したが、地元・読谷村の建築士事務所が「希望をかなえてくれた」

3階建てをぶち抜いてコートを設置。天井高は低いところでも約6メートルある。リングの高さは公式規格の3・05メートル。床材は、プロリーグで使われていたものを設置した。「バスケ関係者の家でもここまでしないと言われる(笑)。まして僕はただのサポーター。だけど、長年の夢を妥協したくなかった」

2階にLDK、3階には寝室や浴室などプライベート空間がまとまる。リビングのソファやキッチン、寝室のベッドまで“観客席”になる造り。「わが家の別名は『Gアリーナ』」とうれしそうに話す。

リビングからコートを見下ろす。「子どもも大きいから」とシンプルな手すりを採用。視界を邪魔せず、コストダウンにもなっている
外観。駐車場側(写真手前)に窓が少ないのは、「来客を驚かせたい。外からはコートが見えない造りにしてもらった」から。敷地奥に向けて高くなる勾配屋根にし、外観は低く見せつつ、バスケコートに必要な高さと3階建て分の居室を確保した
コートの天井に設置した電動スクリーンを下ろせば、映画館に早変わり。リングの上部にはスピーカーも配され、夜になればリビングで迫力ある映像を楽しめる

コートが映画館にも

コートにはバスケ以外も楽しめる二つの仕掛けがある。一つは猫の遊び場。高さを生かして設けたキャットウオークを2匹の愛猫が駆けまわる。

そして天井からスクリーンを下ろせば映画館に変身。「NBAの試合も大迫力で見ることができる」。映画を見たり、卓球をしたり、ラジコンを飛ばしたり。コロナ禍もGアリーナをフル活用した。

難点は大空間のため「冷房が効きにくい。承知の上だったけど」と苦笑。大型扇風機を回しながらコートに立つ。

息子が巣立ったら「近所の子たちとバスケチームを作ろうかな」。Gアリーナから、世界で活躍する選手が生まれるかもしれない。

手前のリビングと、奥のダイニング・キッチン(DK)の間には5段分の段差がある。壁ではなく高低差で仕切ることでメリハリが付き、奥にあるDKからでもバスケットコートを見ることができる
黒を基調にしたおしゃれなキッチン。背面にはたっぷりの収納がある。引き戸を閉めれば冷蔵庫まで隠れてスッキリ
3階の寝室。写真正面の窓の下にコートがある。「ここにいても、コートが見えるし映画が楽しめる」と夫人
1階のゲストルーム。仏間も兼ねる。写真右側は、造作したシンプルな仏壇。モダンな和室になじみ、「掃除もしやすい」

ここがポイント

ラーメン構造で広々空間

「バスケットコートを造ることが第一条件のお宅。コートを基準に、構造や建物の大きさ、間取りを決めた」と、G邸を手掛けた(株)NDアーキテクトンの比嘉義国さんは話す。

構造は、壁でなく「枠」で建物を支える「ラーメン構造」を採用し、広々と開放的なコートを確保した。「ラーメン構造の特徴を生かし、住居部も壁を少なくして段差で空間を分けた」。リビングから階段5段上ったところにダイニングとキッチン(DK)がある=上写真。これにより、奥にあるダイニングとキッチンからでもコートが見下ろせつつ「リビングはパブリック、DKはプライベート空間として緩く分けた」。

「1階と2階は高低差こそあれ、間仕切りがなくワンルームのようにつながっている。だから、下から上へ風が抜けていく」。コートの地窓から入った風が、ダイニングの掃き出し窓へ抜けていく。

また、3階建てでも「外観の圧迫感を和らげるため、勾配屋根にした」。道路に面する部分が最も低く、約6メートル。奥が8・4メートル。低い部分にコートを配し、高い部分は3階分の住居スペースにした。「それぞれ必要な高さを確保しつつ無駄を省けた。コストダウンにもつながった」と話した。

コートは横幅5・8メートル、縦8・8メートル。天井高は低いところで約6メートルある

[DATA]

家族構成:夫婦、子ども、猫2匹
敷地面積:354.14平方メートル(107.1坪)
1階床面積:121.86平方メートル(36.8坪)
2階床面積:49.38平方メートル(14.9坪)
3階床面積:68.34平方メートル(20.6坪)
建ぺい率:38.43%(許容50%)
容積率:67.65%(許容100%)
用途地域:指定無し
躯体構造:鉄筋コンクリートラーメン構造
設計:(株)NDアーキテクトン 比嘉義国
構造:(株)濱川構造設計
施工:(株)沖秀建設
電気:(有)開成電設
水道:三建設備(株)
造園:HADANA
キッチン:(有)トーヨー建材
AV機材:アバック沖縄店

◆問い合わせ:(株)NDアーキテクトン 
 電話098・958・3522
 https://www.nd-arkhitekton.com/

「週刊タイムス住宅新聞」1845号(2021年5月14日発行)紙面より転載