婦人科ドクターの髙宮城直子さんと、友人で20代の娘を持つ医学博士、エリセーバ・オリガさんが、知っておきたい女性のヘルスケアについて女子会トークでレクチャー。5月は、不妊のリスクを高めると言われる「月経困難症」。(徳正美)

ひどい月経痛、我慢するほど不妊に!

 
 

「生理痛が軽い女性や父親には理解されないことが多くてツラい」オリガさん

直子 娘さんが修学旅行中、生理がきつくて動けないと先生から連絡が来た親御さんがいた。生活に支障が出る場合は「月経困難症」。おなかがギューッと痛くなる以外にも、だるいし眠いし腰も痛い。吐き気や下痢がひどかったり頭がボーッとしたり、気分も落ち込む。

オリガ 娘がそうなっても、父親は分からなくて「サボりたいからじゃないかと思う」っていうのは、よく聞く話。男性や生理痛が軽い女性には理解されにくい。

直子 つらいよね。月経困難症の女性は日本に約900万人、9割は治療を受けていないとの統計もある。

オリガ しょうがないと諦めてるんだよね。そもそも月経困難症はなぜおこるの?

直子 原因となる病気がないタイプと、あるタイプに分かれる。前者は子宮を収縮させる物質が原因と考えられていて中学生でも発症。

後者は、子宮内膜組織が子宮外に増殖する「子宮内膜症」、子宮壁が厚く肥大する「子宮腺筋症」、子宮壁に腫瘍ができる「子宮筋腫」が主な原因。特に腺筋症は痛みや経血がひどくて、毎月流産しているようなもの。どれも30歳くらいから発症するから、年々痛みが強くなっているなら要注意!

「治療は漢方薬、LEP、黄体ホルモンの内服薬や子宮内リングなど」髙宮城さん

オリガ 自分でできる対処法はないの?

直子 鎮痛剤を痛くなる前に定期的に飲むこと。薬ばかり飲むのは心配とか、効かないから飲まないという人も多いけど、飲み方が大事で用法を守れば大丈夫。我慢した人ほど子宮内膜症や不妊症のリスクが高まるとのデータもあるから、我慢しても何の得もない!

オリガ 鎮痛剤は成分との相性もあるから、いろいろ試してみた方がいいね。

おなかは温める? 冷やす? 運動はした方がいい?

直子 骨盤周りが鬱血するから運動できるならした方がいい。湯船に浸かると楽になる人もいるしね。それでもダメなら受診して。治療には漢方薬、LEP(ピル)、黄体ホルモンの内服薬や子宮内リングなどがある。

オリガ ピル=避妊薬と思ってる人も多いよね。

直子 避妊用とは女性ホルモンの種類や量がやや違い、月経困難症の治療薬として保険が適応される。病気があるなら進行を防ぐ意味でもLEPや黄体ホルモン剤で排卵を抑えるのが肝心。なければどれでもOK。

オリガ 病気があると経血が増える。私も子宮筋腫の時、足裏までつたってきた!

直子 月経困難症は過多月経を併発する人も多いから、貧血の治療も必要。

婦人科の内診が嫌なら、下腹に超音波をあてて子宮や卵巣を診ることもできるし、学生だけの来院もOK。

オリガ それは安心。我慢しないで受診しましょう!

たかみやぎなおこ/Naoko女性クリニック院長。1961年、長崎県生まれ。佐賀医大(現佐賀大医学部)卒業後、86年に来県。琉大医学部附属病院や県内の公立、個人病院等で産婦人科医として勤務後、開業。1女2男の母。産婦人科専門医、女性ヘルスケア専門医、更年期に関するメノポーズカウンセラー
えりせーばおりが/沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員。1971年、ベラルーシ出身。同国立医科大学卒業後、国立血液研究所医師をへて96年来日。大阪大学医学博士課程を修了後、OIST、理化学研究所にて癌免疫研究。自身の更年期を機に女性の健康に関する研究に着手。1女、2男の母

週刊ほ〜むぷらざ1763号(2021年5月20日発行)紙面より転載