教員による児童生徒へのわいせつ行為を防止するための法律が成立した。

 議員立法による新法の柱は、わいせつ行為で免許が失効した教員の再取得を、都道府県の教育委員会が拒めるようになることだ。

 わいせつ行為で懲戒免職となった教員の情報を管理するデータベースの整備も盛り込んだ。教委や私立学校が採用時に活用することを想定している。

 いずれも、免職となった教員を再び教壇に立たせないようにするのが狙いである。

 現行法では懲戒免職になり教員免許が失効しても、3年たてば再取得できる。処分歴を隠して別の自治体で採用された教員が、再び処分されるケースも判明し、対策を求める声が高まっていた。

 文部科学省も法改正を検討したが「職業選択の自由」を保障する憲法や、刑法との整合性がネックとなり、見送った経緯がある。

 そこで新法は、免許授与権を持つ都道府県教委に拒絶の裁量権を与える、とした。

 子どもを守り育てる教員の立場を悪用した卑劣な行為は決して許されない。対策の強化は必要である。根絶への足掛かりにしてもらいたい。

 ただ、権利制限につながる新法には懸念もある。教委の裁量権が広がりすぎないか、データベースの情報が外部に漏れないか、などだ。

 教委の判断の公平性を担保するため、第三者による審査会が設けられることになっている。慎重に審査してほしい。データベースについても情報漏洩(ろうえい)を防ぐ厳格な対策を求めたい。

■    ■

 新法は、児童生徒への教員のわいせつ行為や性交を「児童生徒性暴力」と定義し、同意の有無にかかわらず禁止すると明記している。

 国や地方自治体、学校には防止策や早期発見、調査を求めている。実効性ある対応が不可欠だ。

 2019年度、勤務校の児童生徒ら18歳未満の子どもへのわいせつ行為などで、懲戒処分や訓告を受けた公立小中高校などの教員は126人もいた。

 ただ、明らかになったのは「氷山の一角」だとされる。

 被害者側が学校や教委に相談しても、教員が否定したとして取り合わなかったり、自主退職で処分を免れたりするケースも少なくないとみられるからだ。

 「逃げ得」を許してはならない。学校とは違う窓口をつくり、法律などの専門家らが調査する仕組みも検討すべきだ。

■    ■

 「児童生徒性暴力」は子どもたちの心に生涯にわたり深刻な傷を残す。

 県内では14年、中学生の時に男性教諭からわいせつ行為を受けた女子生徒が、高校進学後に自ら命を絶った。二度と起こさせないことは大人の責任である。

 今後、新法の具体的な指針が策定される。学校や教委には子どもたちが相談しやすい環境を日常的に整えることが大事だ。被害の相談があったときに子どもに寄り添い、適切な支援につながる態勢づくりを求めたい。