2022年度以降の次期沖縄振興計画(振計)の素案が発表された。今後10年間を見据え、県の政策の支柱となる計画である。その考え方が沖縄の将来を左右するといっても過言ではない。

 素案は次期振計の意義について、地域特性を生かした沖縄の振興が、日本の経済・社会の発展に貢献すると幾度も言及している。

 本土復帰から、10年ごとに策定されてきた振計は当初、沖縄の歴史的・地理的な特殊事情に鑑み、国が責任を持って進めると位置付けられた。日本への「貢献」が論じられるようになったのは、前振計(02~11年度)以降だ。

 現振計(沖縄21世紀ビジョン基本計画)は、先駆的な取り組みがアジア・太平洋地域の発展に「寄与しようとする県民の志を現す」とし、県の主体的な意志を鮮明にした。

 今回は、「貢献」を前面に押し出しているが、その意図は何か。日本経済のフロントランナーとしての意味合いなのか、それとも、別の狙いがあるのか。県は分かりやすく説明する必要がある。

 年間3千億円台が国に「約束」された沖縄関係予算が次期振計でどうなるか、今の時点で見通しはつかない。「単純延長はない」と公言する政府・与党の姿勢からすれば、厳しい局面も想定される。

 沖縄関係予算は基地の見返りで他県より優遇されているとの誤解がある中、「貢献」の対価として予算を引き出そうとしていると受け取られる懸念も拭えない。次期振計策定で、何より県の主体的意志をより明確にすべきだ。

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 復帰後の振計は、1~3次(1972~2001年度)と4次以降に大別される。

 1~3次は本土との格差是正を目標に掲げた。大規模な公共工事による社会資本整備が進み、観光立県を目指す上での布石となった。

 4次以降は格差是正を目的とせず、日本経済の一翼を担う視点に変わった。現振計から、計画策定主体が初めて国から県に移行した。自由度の高い一括交付金が創設されたことも大きい。

 今後10年、何を主軸に据えるのか。新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せない今、少なくとも前半の数年間は、コロナ禍からの脱却が最重要課題であろう。観光立県の立場からしても、「安心・安全」の担保は必要不可欠だ。

 非正規雇用の労働者やひとり親世帯を中心に、コロナ禍で拡大した経済格差にも取り組む必要がある。

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 県は1月、次期振計の骨子案を公表した際、パブリックコメント(意見公募)を行った。しかし、復帰から50年という大きな節目に、県民的な議論を呼び起こしているとは言い難い。

 素案は今後、県振興審議会に諮問され、12月の答申を経て、来年3月に次期振計は策定される見通しだ。この間、市町村や関係団体などを含めて、県民からの意見を聴取するとしている。

 県は、素案の要約版を作り配布するなど、各界各層を巻き込んだ議論を喚起すべきだ。