許認可権を握る官庁と、接待攻勢ですり寄る事業者との癒着の構図が改めて浮き彫りとなった。

 総務省幹部らへ高額接待が繰り返された問題を検証する同省の第三者委員会は、放送事業会社「東北新社」の外資規制違反問題に関する報告書を発表した。「行政をゆがめたとの指摘は免れない」と総務省の対応を強く批判した内容だ。

 東北新社の外資規制違反を巡っては、総務省がいつ認識したかで当事者の見解が分かれていた。東北新社側が2017年8月時点で総務省に報告していたと説明したのに対し、総務省は報告を受けていないと反論していた。

 第三者委は調査の結果、17年8月には総務省の担当課長が違反を認識していた可能性が高いと指摘した。認識していながら衛星放送事業の認定を取り消さず、子会社への承継方針を追認した可能性が高い、と結論づけている。

 事実なら許認可権者としてあるまじき対応だ。

 報告書は、4K放送を推進するために取り消し処分をちゅうちょしたとみている。接待と法務省の対応の関連性までは認めていない。

 しかし、委員からは、会食を重ねることで、なれ合い意識やムラ意識が醸成される可能性が指摘された。重く受け止めるべきだ。

 NTTなども含め一連の幹部接待を調査してきた総務省も、78件の違法接待を新たに確認したとし、職員32人の処分を発表した。

 2月に発表した分と合わせると違法な接待は100件を超える。官僚のモラルの低さにあきれるばかりだ。

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 第三者委の報告書は、任意調査の限界も露呈した。

 ヒアリングに対し、総務省側は多くの職員が「覚えていない」との発言を繰り返した。事実を明らかにする姿勢が見えない。

 「外資規制違反を認識していなかった」と主張する当時の担当課長らからも、事実経過などの合理的な説明や客観的な資料の提出はなかったという。

 行政判断のプロセスは透明性が欠かせない。公平性や公正性に疑念を持たれたら説明を尽くすのは当然だ。

 それができないというのはどういうことか。

 武田良太総務相は責任を取り、閣僚給与3カ月分を自主返納すると表明した。行政がゆがめられたというのに、トップの責任の取り方としては甘いのではないか。

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 東北新社の接待には菅義偉首相の長男も関わっていた。だが今回の報告書では首相への忖(そん)度(たく)があったのかは明らかになっていない。調査はまだ十分ではない。

 第三者委は今後、NTTの接待問題も検証し、再発防止策を提言するという。NTTについてはドコモの完全子会社化や政権が要求した携帯電話料金の引き下げなどにも疑念が持たれている。東北新社と併せて徹底した調査を求めたい。

 真相解明なくして行政への信頼回復はない。最終的には国会が関係者を証人喚問して究明するしかない。