[東京報道プラス][アクロス沖縄](151) 染織家 下地康子さん(53)=那覇市出身

 沖縄の風景が浮き上がるような色合いと風合い―。神奈川県にある織工房「URIZUN」で、生まれ育った沖縄の原風景に思いを巡らせながら草木染の糸を織り上げる。2015年に国内最大級の公募展「国展」(主催・国画会)工芸の部で、一般公募の最高賞「国画賞」に選ばれ、今年も準会員優作賞を受賞した。「ものづくりを通して考えることは、自分のルーツなんです」と話す。

 紅型や織工房が身近にある那覇市首里で生まれ育った。小学生の頃から織の動きやリズムを心地よく感じ、織の道に進もうと決めていた。同居していた祖母の琉球絣姿を見て暮らし、宮古島の曽祖母の家を訪ねた時は、ジーファー(かんざし)でまとめた琉髪と手に残るハジチ(入れ墨)で琉装という沖縄固有の服飾文化に触れた。その経験が今につながる。

 首里高校染織デザイン科で学び、県立芸術大学工芸専攻染織コース(織)では「伝統的な染織技法を使った現代の服地への展開」をテーマに学んだ。卒業後は上京し、アパレル会社に入社。人気ファッションブランドの生地をデザインする仕事を任された。

 入社から3年後に同じ部署の男性と結婚したことを機に退職し、国画会の染織家、清水昌子氏に師事した。夫は独立し、服地のデザインを手掛ける会社を設立。その仕事にも協力し、有名デザイナーに提供する生地のサンプル織りも担った。

 2010年には、「手織りの魅力をもっと多くの人に伝えたい」と、織工房「URIZUN」を立ち上げた。染織の新人作家として40歳のスタートだった。

 「伝統に敬意を払いつつ、今を生きる人々が日々まとえる布を作る」をモットーに、...