疑問は依然として残されたままだ。

 うるま市津堅島で不時着し5日間にわたって農家の畑を「占拠」していた米軍普天間飛行場のUH1ヘリが7日、点検や修理を終え離陸した。

 8日になって、海兵隊のオーウェンズ大佐が、津堅自治会長を訪ね「不安を与えた」と謝罪した。

 ただ、中村正人うるま市長が求めた事故原因の究明と安全管理が徹底されるまでの同型機の飛行停止、再発防止策の策定と公表は、無視された形だ。

 不時着前に、住民が「ゴゴゴゴ、という地響き」や「なにか濁ったような、故障しているようなエンジン音」を聞いていた。民家上空を通過する際の聞き慣れない異常な音が住民の不安をかき立てた。

 事故当時、乗員は警察の聞き取りに「エンジンの故障で着陸した」と説明したという。何の訓練をしていて、機体がどんな状態だったのか。米軍から具体的な説明はない。

 米軍は「予防着陸」と説明しているが、普天間に戻ることができないほど差し迫った状況だったのではないか、疑念は拭えない。

 2017年、CH53大型ヘリが東村高江の牧草地に不時着炎上するなど、普天間所属機による民間地域での事故は頻繁に起きている。

 04年の沖国大ヘリ墜落を契機に、米軍機事故の現場立ち入りに関するガイドラインが策定された。だが、現場に近い「内周規制線」への立ち入りには、米側の同意が必要とされる。今回も県警が現場検証できない実態は変わっていない。

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 普天間飛行場の20年度の離着陸回数は、沖縄防衛局が24時間態勢の目視調査を始めて以降、最多となった。

 津堅島では、騒音防止協定で「必要最小限」に制限されている午後10時を過ぎた訓練も度々、目撃されている。

 島の西側には、パラシュート降下訓練が実施される津堅島訓練場がある。定期船や漁船が航行する同水域では、昨年過去最多となる11回の降下訓練が実施された。

 同じうるま市の伊計島の民間地にも17年、18年にヘリが不時着している。

 飛行訓練激化で地域住民の暮らしが危険にさらされるようなことがあってはならない。

 日本政府は、うるま市が求める夜間訓練中止や飛行経路変更を米側に働き掛けるべきだ。「島の上空を飛ばないでほしい」という住民の切実な声に耳を傾けてもらいたい。

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 今回の不時着では、連絡体制の不備も改めて浮かび上がった。県に沖縄防衛局から一報があったのは、不時着から約3時間後。続報はさらに14時間後だった。海兵隊側の連絡体制が機能しているかも含めて、検証が必要だ。 

 米軍の訓練や事故によって、被害を受けるのは基地周辺の住民である。次は、民家に落ちるのではないかと不安に感じている人も多い。

 県や国は、米軍を交えて事故対応に関する協議会を開き、住民の不安を和らげる情報共有の在り方や再発防止策を早急に示すべきだ。