下地幹郎衆院議員の自民党復党を求める企業グループが県内で新規党員約4800人を集め、党本部に報告した。県内の党員が約8千人にとどまる中「驚異的な規模」(県連幹部)の党員を手土産に、復党を迫った形だ。一方、復党に反対する県連内からは「一人一人、自民党の政策への理解を得たのか。企業の力業で露骨過ぎる」と不快感が広がった。

下地幹郎衆院議員

自民党の二階俊博幹事長(左から2人目)と面会する国場幸一会長(同3人目)ら。テーブルに企業が集めた入党申込書の束がある=9日、東京都千代田区・自民党本部(提供)

下地幹郎衆院議員 自民党の二階俊博幹事長(左から2人目)と面会する国場幸一会長(同3人目)ら。テーブルに企業が集めた入党申込書の束がある=9日、東京都千代田区・自民党本部(提供)

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 「今回の4800人は、自民党沖縄県連の筆頭株主だ」。下地氏を支援する企業関係者は自信たっぷりに語った。

 県連は、毎年の党大会で新規党員獲得を目標に掲げてきた。県連幹部は、沖縄は名護市辺野古の新基地建設など基地問題で保守に風当たりが強いとし「党員獲得に難渋する中、天文学的な数字だ」と驚きを隠さない。

 企業関係者は「下地氏を支援する企業が力を合わせた結果。党本部内で復党への機運が高まるのでは」と期待する。

 下地氏は昨年10月に県連へ復党願を提出したが、県連は拒否した。県連関係者は今回の下地氏側の動きに不快感を示しつつ「復党の可能性は高まっただろう」と認める。

 一方、県連内では復党と次期衆院選の立候補枠は「別物」との声が根強い。県連幹部は「党員を獲得すれば選挙区、比例代表の立候補枠が分配されるわけではない」と指摘。「次期衆院選で自民党候補の当選に下地氏がどれだけ汗を流すか。選挙の話はその後だ」と突き放す。

 別の幹部は「衆院沖縄1~4区は、現職3人と3区支部長を次期予定候補者として党本部に挙げている」とけん制した。

 今回、企業は自社の社員にも入党を呼び掛けた。あくまでも「協力」の依頼で違法性はないが、一部の企業は入党費の4千円を会社が肩代わりする文書を社員に配布した。

 國場組の國場幸一会長は記者団に、一部で肩代わりが「ある」と認めた上で「多くの企業である話だ」と問題ないとの認識を示した。

 政治資金に詳しい日本大の岩井奉信教授(政治学)は、党費負担は「事実上の献金に当たるだろう」と指摘。党員獲得に関し、企業側と自民党が事前に目的を共有していれば「何らかのあっせん行為に当たる場合がある」とし、政治資金収支報告書への記載義務が生じる可能性にも言及した。

 また、入党を強制していなければ違法性はないとする一方で「企業は政治活動が目的ではない。入党呼び掛けは好ましいとは言えない」と指摘した。

 玉城デニー知事を支える与党幹部は、下地氏側の動きを歓迎する。「衆院1区の勝敗は来年の知事選を占う。現職の国場幸之助氏と下地氏の保守候補が割れればオール沖縄に有利に働き、知事選まで影響する」と期待した。

(政経部・大野亨恭、山城響)