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北部訓練場の半分返還、拭えぬオスプレイの不安 沖縄県「どんな思いでお祝いすれば…」

2016年12月22日 12:17

 安倍晋三首相ら日米の政府高官が居並び「本土復帰後最大」の返還による基地負担軽減をアピールした日米共同発表。米側へ提供されたヘリパッドは墜落した新型輸送機オスプレイが利用する。事故や騒音に対する不安の声が上がるが「引き続き米側と協力し十分配慮して取り組んでいく」(首相)と対策は後回しだ。

ヘリパッド建設が進む米軍北部訓練場のN-1地区=12月12日、国頭村安波(本社チャーターヘリから)

ヘリパッド建設が進む米軍北部訓練場のN-1地区=12月12日、国頭村安波(本社チャーターヘリから)

 翁長雄志知事の誕生により辺野古新基地建設が思うように進まなくなった安倍政権にとって、北部訓練場は約4千ヘクタールと「目に見える形で」(首相)実績を残せる案件だった。

 2015年12月4日、菅義偉官房長官とケネディ駐日米大使が米軍普天間飛行場と牧港補給地区の計約7ヘクタールの返還などを共同発表した。その末尾に「北部訓練場の返還の緊急性を再確認した」との一文がある。普天間の一部など「菅リターン3事案」の実現に尽力したのはケネディ大使。「日米の貸し借り」(防衛省関係者)の中で示されたのがヘリパッド建設だった。

■しびれを切らした米側

 しかし、1月には宜野湾市長選、3月から6月まではノグチゲラなど希少種の営巣期間、7月は参院選。ゲート前で抗議する市民らの排除すらしない日本側に、しびれを切らした米側が年内返還を持ち出した。たちまち官邸の号令で年内完成へのスケジュールが決定。当初、防衛省は民間ヘリの使用にとどめる考えだったが「生ぬるい」(政府関係者)と陸上自衛隊のヘリによる資材搬入もなされた。関係者は「1回だが象徴的だ」と笑みを漏らす。新基地建設を含め「決めたらやる」という沖縄へのメッセージとなった。

 今月16日にあった最終点検では「米側の望むような仕上がりではなく協議は難航した」。G地区と宇嘉川河口部を結ぶ歩行訓練ルートの工事も来夏ごろまで続く。完成と認める「オプション」として工事用道路は提供されることになった。

■県と国の大きなギャップ

 「返還自体は歓迎だ。だが、県民の不安を払拭(ふっしょく)できない状況の下、どんな思いでお祝いをするのか」。県幹部は不快感を示した。

 翁長知事はオスプレイ墜落事故とその後の飛行再開に抗議し、返還式典の自粛を政府に要請した。だが、その声は聞き入れられなかった。

 別の幹部は「県民が上空を飛ぶオスプレイにどれだけ不安を持っているか、政府は分かっていない」と指摘。知事の抗議を受け流し、祝賀ムードの政府の姿勢こそ「県と国の大きなギャップの象徴だ」と訴えた。

 その上で、「ギャップのはざまで苦しむのはいつも県民だ。日米安保の応分負担とは一体何なのか」と吐き捨てた。(東京報道部・上地一姫、政経部・大野亨恭)

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