[土地規制法案を問う]

「注視区域」のイメージ

 政府が今国会成立を目指す土地規制法案は、沖縄の全ての有人島の全域を「注視区域」や「特別注視区域」に指定できる仕組みになっていることが分かった。政府は「沖縄県全域までは想定していない」と説明するが、本紙取材に条文上は可能なことを認めた。政府の裁量次第で全県民が監視下に置かれることになりかねない。(編集委員・阿部岳

 注視区域には大きく分けて自衛隊基地や米軍基地などの「重要施設周辺」と、「国境離島」の2種類がある。離島は県内の有人島全てが指定されている「有人国境離島地域」などが対象で、沖縄島も含む。重要施設と違って周囲1キロという距離の制限がなく、島全域を指定することもできる。

 注視区域では「機能を阻害する行為」が禁じられ、政府は地主や出入りする関係者に利用状況を報告させたり、調査したりできる。中止命令に違反した場合は2年以下の懲役または200万円以下の罰金。特別注視区域になると、さらに土地の売買も事前届け出が必要になる。

 「離島の機能を阻害する行為」について、政府は領海の基点となる海岸線(低潮線)に影響する開発行為を挙げている。しかし、こうした行為が既存の低潮線保全法ですでに規制されていることも、取材で新たに分かった。

 「低潮線保全区域」内では、海や陸の開発行為が国土交通大臣の許可制になっている。県内にも領海の基点となる島々に38カ所の保全区域がある。

 低潮線保全法と重複するのになぜ土地規制法案で新たに規制を追加するのか、内閣官房の担当者は取材に「整理できていない」と認め、「土地買収を防ぐという議論が先にあった」と釈明した。政府は、国会では「必要最小限の範囲で区域指定する。沖縄県全域までは想定していない」としつつ、「個別に評価し、判断する」と説明している。