学校現場でのいじめや学校と保護者のトラブルなどについて弁護士が相談に応じる「スクールロイヤー制度」について、県教委と沖縄弁護士会が協定を結んで2年目に入った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で教員向け研修会などの活動が制限され、制度の周知などが課題になっている。スクールロイヤーの一人で子どもの権利に詳しい横井理人弁護士は「教員らが気軽に相談できる仕組みを構築し、法的観点からトラブルを未然に予防することが重要だ」と話す。(社会部・下里潤)

学校現場でのスクールロイヤーの必要性について話す横井理人弁護士=那覇市・サイオン総合法律事務所

スクールロイヤーの主な役割

学校現場でのスクールロイヤーの必要性について話す横井理人弁護士=那覇市・サイオン総合法律事務所 スクールロイヤーの主な役割

 学校現場では、いじめや虐待だけでなく、不登校や保護者とのトラブル、不条理な校則など、法的なアドバイスが有効な場合が多い。スクールロイヤーは訴訟に発展するなど事態が深刻化してからではなく、トラブルが予測されそうな段階から関わるのが特徴だ。

 顧問弁護士のように学校側の代理人として対外的な活動をする弁護士とは役割が異なる。教育や福祉、子どもの権利などの視点に立ち、子どもの利益が最善になるよう助言・指導する。

 県立学校の場合、学校側が弁護士に相談したいときは県教委を通じて連絡を取り、助言などを得る方式を採用している。県内6地区に8人の弁護士が登録。県教委によると、昨年度の相談は運用を開始した10月から半年間で9校延べ21回にとどまった。本年度は予算を倍増させ、学校側へ制度の周知を呼び掛けているという。

 横井弁護士は「弁護士が定期的に学校を訪問し、気軽に相談を受ける方法が理想だが、現実には財源もマンパワーも足りない」と指摘する。弁護士会でも研修などを行っているものの、教育現場に詳しい弁護士はまだ少ないという。

 一般的に学校は生徒に関する悩みや情報を簡単に外へ出さない傾向にあり、気軽に弁護士に相談できる環境づくりが課題だ。相談へのハードルが高く、問題が「どうにもならない状態」にまで進んだ場合では遅いからだ。

 横井弁護士は「病気に例えるなら、スクールロイヤーは特効薬ではない。あくまで予防薬。適切な時期に治療を受けられず、病状が進行して手遅れになったり、後遺症が残ったりすることは避けなければならない」と説明する。

 コザ高で運動部主将を務めた男子生徒が自ら命を絶った問題は制度導入前だったとし、「早めに第三者の目を入れることで防げた事例は多いはずだ」と振り返る。

 一方で、県内のほとんどの市町村教委では協定が進んでおらず、小中学校では制度が活用できない現状もある。「制度は始まったばかり。多くの教員に有用性を知ってもらい、子どもにとって最善の方法を考えていきたい」と話した。

(写図説明)学校現場でのスクールロイヤーの必要性について話す横井理人弁護士=那覇市・サイオン総合法律事務所

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