[古田拓也,ITmedia]

 この一年は米国株よりも「木」を持っていた方がもうかったようだ。

 今、世界的な未曾有(みぞう)の材木価格高騰によって、「ウッドショック」と呼ばれる現象が発生している。材木価格が上昇しているにもかかわらず「ショック」と呼ばれるのは、「オイルショック」に近いと考えると分かりやすい。株などの金融商品は価格が下がると「ショック」になるが、生活に関わる商品(コモディティ)は価格が上がる方が「ショック」になる。

米国株よりも木の方がもうかった?

 米CME取引所における材木先物を確認すると、2020年6月は400ドルだった価格が、21年5月には一時1700ドル超まで高騰した。足元では1300ドル近辺と、パニック的な買いから落ち着いてはいるが、それでも昨年の2倍以上の価格で推移している。

中国の材木需要高まりや国内の材木活用も影響?

 ウッドショックが起きている原因は、米国における住宅ローン金利低下と在宅スタイルへの変遷が一つだ。コロナ禍において自宅環境が重要になり、そこに低金利環境が整ったことで、新築の需要が増加している。

 さらに材木価格を巡る国際的な動きをみていくと、中国における木材需要の増加も顕著だ。2010年からの10年間で、中国の針葉樹丸太輸入量は約2500万立方メートルから約4500万立方メートルへと、1.8倍にまで増加している。

 国内においても、農林水産省の外局である林野庁は、以前から公共建築物を中心とした木造化・木質化に取り組んでいる。我が国における木造建築物の割合を国交省の建築着工統計調査から確認すると、10年度には8.3%だった公共施設における木造建築物の割合は、19年度には13.8%まで上昇した。このうち、震災によるダメージのリスクが低い低層の公共建築物は10年度の17.9%から28.5%まで増加しており、そのシェアは3割に迫る勢いだ。

 なお、建物全体でみた19年度の木造率は43.9%と、10年度とほとんど同じ割合だ。それでも半分近い建物が木造建築であることから考えると、日本における建材としての材木は依然として高い需要がある。

 伝統的な建材でもあり、秩序ある間伐によって生産管理された材木は、持続可能な社会づくり、いわゆるサステナビリティというテーマでも今後活用が期待できる分野である。

 国内大手の住友林業では、41年をメドに高さ350メートルの超高層ビルを木質で建築するという計画を18年に発表している。木造の高層ビルはノルウェーやカナダ、オーストラリアといった国々で既に建築されていたり、建築が計画されていたりする状況だ。そんな中、地震大国といわれる日本で安全性を備える高層ビルが実現すれば、材木には環境負荷という観点でも優秀な建材として再注目されそうだ。

住友林業の木造高層ビル構想。高さ350メートル、地上70階建て (住友林業)

 そんな中、森林大国と呼ばれる日本でも、半分以上の材木を輸入に頼っている状況だ。ウッドショックは、主に公共施設の建築コスト増にもつながりそうだ。