沖縄県糸満市の県平和祈念資料館は今年から「大人のための平和学習」を行っている。76年前の沖縄戦体験者から直接話を聞いた「今の大人」が、体験者と「戦争からさらに遠くなった世代」との「間の世代」を担うことを期待。「戦争を学び直し、関心を高め、家庭や職場で話題にしてほしい」と、毎月第4日曜日に開く講習会への参加を呼び掛ける。(編集委員・福元大輔)

大人のための平和学習について説明する県平和祈念資料館の金城孝之学芸班長=17日、糸満市の県平和祈念資料館

 「子どもの頃に沖縄戦を学んだけど、あまり知らないな」-。パンフレットには、誘い文句が並ぶ。金城孝之学芸班長(48)は「バトンをつなぐために何ができるか。平和学習が必要なのは、大人ではないか」と狙いを語った。

 那覇市小禄出身の金城班長が幼い頃、自宅近くに家族用の避難壕がいくつもあった。遺骨も次々に見つかる時代。戦争の跡は身近に残っていたが、「平和学習は体系化されていなかった」と感じている。

 2年前、慰霊の日に向けた「平和の詩」の発表会で子どもたちの平和への思いを聞いた資料館職員の間から「大人がもう一度、学び直す機会があった方がいい」との意見が出て、準備を進めてきた。

 講習会と常設展示の見学で計2時間。今年2月と3月に20~70代の計34人が参加したが、その後は新型コロナウイルスの影響で中断している。

 講習会では、沖縄戦に至った背景や米軍の戦闘の経緯を説明したほか、犠牲者数や日本軍が県内に造った飛行場の数などをクイズで出題。高校生アンケートで、家族や親族で沖縄戦を語る人がいる割合が、2010年の40・5%から20年には30・3%に落ち込んだ現状などを伝えた。

 金城班長は「平和の最大の敵は無関心。子や孫から沖縄戦の話を聞かれて『分からない』と答えるのではなく、意見をぶつけ合ってでも平和とは何かを考えてほしい」と強調。「願う平和から、創る平和につながると思う」と話した。

 大人のための平和学習は入門編のみ。その後は既存の講座やシンポジウムを紹介している。問い合わせは同資料館、電話098(997)3844。