沖縄県糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」を支援しようと、MONGOL800のキヨサクさん、民謡歌手の古謝美佐子さん、Kiroroの玉城千春さんによるライブ「ひめゆりの詩」の配信が23日正午から始まる。

23日正午からのライブ配信について記者の質問に答えるキヨサクさん(右)と、ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長=18日、沖縄県糸満市

 ライブでは3人で9曲を歌い、合間に平和へのメッセージを伝える約1時間。キヨサクさんは2015年発表の「himeyuri~ひめゆりの詩~」で、「忘れるな ひめゆりの詩を 歴史にするにはまだ早すぎる 語り継げ ひめゆりの詩を」と平和への思いを込めて歌った。

 古謝さんは「童神」「ひめゆりの唄」の2曲、玉城さんが沖縄アミークスインターナショナルの生徒と手掛けた新曲「Hope Dream Future」と読谷中学校の生徒と作った「命の樹」、「Best Friend」の3曲を披露した。

ライブは、視聴チケット制のストリーミング・サービス「Streaming+」で、視聴料は1万円、7千円、5千円、3千円の4種類あり、見る人が寄付したい金額に応じて決める。資料館の入館チケットが付いてくる。経費を除いた収益を資料館に寄付する。

 配信に関するURLはhttps://eplus.jp/sf/detail/3443230002

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 キヨサクさんと普天間朝佳館長に話を聞いた(敬称略)。

 ――支援ライブをやりたいと思ったきっかけは。
 キヨサク 新型コロナウイルスの影響で、ひめゆり平和祈念資料館の入館者数が激減したことを聞いた。2020年度で前年度に比べ86%、9割近い入館者の減少があった。
 素人目線かもしれないが、時間がない、支援を急がなければとかき立てられた。モンパチの歌で「ひめゆりの詩」という曲を作った手前、自分にできることがあるんじゃないかなと思った。

 ――昨年9月から資料館と打ち合わせを重ねた。
 キヨサク どういう形が支援としていいものかを考えた。(資料館と)温度差があってはいけない。音楽イベントで人を集めて、売り上げを寄付することよりも、資料館が最も大事にしている「次の世代にどうつないでいくか」。その意味合いを考えながら、深い打ち合わせができたことは改めて良かった。

 ――その結果、支援ライブにつながった。
 キヨサク ミュージシャンができること。音楽、ライブ、エンターテインメントを通して、オブラードに包むように、僕らのライブを入り口として、それが最終的に、資料館へ興味を持つことにつながればうれしい。ライブでは、資料館の入館チケットを付けている。コロナ禍が落ち着いたら、ぜひ資料館に来てほしい。どのくらいの人が足を運んでくれるかを気にしながら、来年以降も継続した支援ライブを続けたい。

 ――古謝美佐子さん、玉城千春さんも賛同した。
 キヨサク 一番びっくりしたのは千春さんの参加。支援ライブが決まって情報が拡散され、千春さんの耳に届いて、直接自分に連絡が来た。「力になれることはないか、ぜひ自分もそこで歌いたい」と言ってくれた。二つ返事で、お願いした。1回目の支援ライブがたくさんの人に届いてほしい。
 古謝さんは、民謡「ひめゆりの唄」を歌った。僕たちの世代は、「ひめゆり」という言葉は学んできたが、「ひめゆりの唄」とい楽曲が、やまとぐぅちで残っていることを知らなかった。新しい発見で、ライブを見て、あの歌の成り立ち、歌詞の意味などを聞き直すいい機会になる。

 ――なぜ資料館を存続させないといけないと考えたか。
 キヨサク 無条件に残さないといけない。単純に沖縄に暮らしているとそう思う。毎年、平和の礎に戦没者の刻銘が追加される。それだけでもまだまだ沖縄戦は終わっていないという気持ちになる。資料館が30年のリニューアルで、「戦争からさらに遠くなった世代へ」というテーマを発信している。僕たちが改めて何ができるか、新しい方法がもっともっとあるんじゃないか。SNSなどで情報をとりやすくなった世代だけに、一つ発信すると伝わり方が5年前、10年前と明らかに違う。

 そういう意味で今回のライブもそうだが、支援の広がりにつながってほしい。できればもっと若い世代のミュージシャンを巻き込みたい。沖縄戦を実際に体験したおじぃちゃん、おばぁちゃんが家庭にいる割合はだいぶ減ってきている。そういう意味でもこの資料館で伝え続ける内容はとっても大事なこと。何年も前からも危ぐされてきた語り部の方の高齢化、世代の引き継ぎは否が応でも出てくる。その境目で自分ができることは何だろうと考えている。ひとりのミュージシャンだが、県民一人一人ができることを考えればいろんなアイデアが出てくると思う。答えは一つではなく、いろいろ出てきてもいい。

 ――語り部の高齢化の状況をどう感じているか。
 キヨサク 時間とともに世代は入れ替わる。戦争体験者の話を聞く機会が一番リアルだと思う。それができなくなっていく。ただでさえ、沖縄戦の話を口にするのは難しい方がたくさんいる。それくらいナイーブな問題だと思っている。
 僕らの世代は遠足だったり、学校の行事だったりで資料館などへ足を運ぶ機会があった。記憶の片隅に残っている。そういった機会が減ったから情報が少なくなる、薄くなるのではなく、今の時代にあった伝え方はあると思う。アイデアを出し合いたいし、僕らはライブ、音楽を通してできることをやっていきたい。

 ――慰霊の日に配信する。
 キヨサク 慰霊の日は県民にとって特別な日。普段は忘れやすくても、この日だけでも背筋を伸ばし、平和を考えてほしい。この日に発信することで、若い世代に伝わってほしい。子どもを持って考え方が変わる人もいると思う。いろんなタイミングで平和を考えるきっかけが必要と思う。

 ――来年以降のイメージ。
 キヨサク 今回のライブを見てくれた方々が最初のお客さま。逆にどう広げたらいいかアイデアをもらいたい。直接見てもらいたいのはあるが、コロナ次第なので、資料館の方々と決めたい。派手なことをするわけではない。コロナ禍を乗り越えた後に見えてくることもたくさんある。音楽がどう必要とされているかも僕らの課題。寄り添う形で何らかの支援を続けていきたい。

 ――支援ライブについて。
 普天間 感動で胸がいっぱい。音楽、それぞれの歌声、その合間のメッセージ。キヨサクさん、古謝さん、千春さんの平和への思い、資料館への思いが伝わり、ときどき涙が出そうなくらい感動した。

 ――ライブチケットを買えば、入館チケットを付ける提案もあった。

 普天間 昨年9月に、キヨサクさんから話があり、資料館に来ていただいた。具体的なアイデアをいろいろと考えてくれた。キヨサクさんの「ひめゆりの詩」の中に、「歴史にするには早すぎる」という言葉がある。
 資料館は今回のリニューアルで「戦争からさらに遠くなった世代へ」というテーマを掲げている。過去のことではなく、今を生きる若い世代が平和のこと、戦争のことを考えるのは重要だと思う。ただの支援ライブではなく、資料館に足を運んでくださいというメッセージもあった。影響力のあるキヨサクさんにそういった声を広げていただき、これまで資料館に来たことのない県民、若い方々が来てくださるのではないかと本当に期待している。