沖縄県の名護市内で写真館を経営し、県写真協会の会長も務める写真家の東邦定さん(72)が、ミャンマー南東部のカヤー州の少数民族を撮影した写真集「ミャンマー 来世を願う民・カヤー」を発表した。2016年と18年に計約2週間滞在し、日常の生活を追った。東さんは「住民の多くが来世を見据えて生きていることに驚いた」と振り返り、「自分の生き方を見つめ直すきっかけにもなった」と語る。(北部報道部・国吉聡志)

朝の托鉢に行く準備をする僧侶たち。カヤ-州の村の住民の多くが仏教徒で、僧侶は悟りのために厳しい修行を積む存在として住民から尊敬されている

ミャンマー・カヤ-州の村に住むカヨー族の女性。何か言いたそうに、じっとカメラを見ていたという(いずれも東邦定『ミャンマー 来世を願う民・カヤー』から)

発表した写真集を手にする東邦定さん=17日午後、名護市内

朝の托鉢に行く準備をする僧侶たち。カヤ-州の村の住民の多くが仏教徒で、僧侶は悟りのために厳しい修行を積む存在として住民から尊敬されている ミャンマー・カヤ-州の村に住むカヨー族の女性。何か言いたそうに、じっとカメラを見ていたという(いずれも東邦定『ミャンマー 来世を願う民・カヤー』から) 発表した写真集を手にする東邦定さん=17日午後、名護市内

 東さんは、写真館の業務の一部をミャンマーの事務所に委託していた関係で、12年から同国に足を運ぶようになった。最初はヤンゴン市内や内陸部の遺跡を撮影したが、14年ごろ、内戦の停戦によりカヤー州に外国人が入れることを知った。同州が、少数民族と政府軍が衝突を繰り返した場所と知っていた東さん。興味が湧いて撮影を決めた。

 仏教徒が多数派を占めるカヤー州の村では、信仰を大切にする人々の日常があった。朝になると出家した僧侶が一列になり、托鉢(たくはつ)に繰り出す。人々ははだしになり、黙々と食べ物を鉢に入れる。村のあちこちに祠(ほこら)があり、花や果物が供えられていた。

 驚いたのは、来世を考えて今を生きる人々の姿だった。「苦しくても功徳を惜しまない」「いま苦労すれば、来世はきっといい人生が送れる」。住民のぶれない視線をファインダー越しに見て、現世の死は通過点にすぎないと感じた。

 村の子どもたちが豚や鶏と触れ合って遊ぶ姿や、豊作を願う祭祀(さいし)の準備をする女性たちもカメラに収めた。住民の生活は素朴で、さまざまな苦労があるものの、信仰をよりどころにしつつ幸せに暮らしていた。

 軍がクーデターを起こし、政情が不安定なため、現在はミャンマーに行けない。「みんな今無事だろうか」と、撮った写真を見返しながら気をもむ。取材で豊かさや幸せについて深く考えるようになったと振り返る東さん。「自分の生き方について考える作品になっている。手に取ってほしい」と呼び掛けた。

 写真集は森山写真商会(那覇市)、スタジオエースの名護店とプラザハウス店で購入できる。価格は1980円(税込み)。問い合わせはイニュニック、0120(60)1229。