糸満市米須の「魂魄(こんぱく)の塔」では23日、断続的に雨が降る中、多数の遺族らが花や飲み物を供え、戦没者の冥福を祈った。近接する鉱山の土砂は、名護市辺野古の新基地建設の埋め立てに使われる可能性が取りざたされている。「魂が宿る土」「戦没者を2度殺さないで」。遺族らからは、そんな悲痛な声が漏れた。(編集委員・鈴木実)

たくさんの花や飲み物が供えられた魂魄の塔。断続的に雨が降る中、遺族らは戦没者の冥福を祈って手を合わせたり、じっと塔を見つめたりしていた=23日午後1時55分ごろ、糸満市米須

■近接する鉱山

 那覇市の具志幸雄さん(82)は、妻の嶺子さん(81)、孫の上原政士朗さん(14)と、傘を差しながら手を合わせていた。

 当時6歳。南部に避難中、生後わずか1週間の妹を失った。防衛隊に召集された父も、どこで亡くなったのか分からない。「毎年ここに来ないと、気持ちが落ち着かないんです。これからも、ずっとそうじゃないかな」

 土砂が採掘される鉱山は、魂魄の塔から歩いて3~4分。「この周辺には多くの人の血が流れている。埋め立てに使うなんてとんでもない。戦没者が2度殺されてしまう」と訴えた。

■沖縄の土には

 「戦争が再び起きないように見守っていてください」。那覇市の男性(68)は、そんな思いを込めて手を合わせたという。

 祖父や継母ら親族3人が犠牲になった。みな、いつどこで亡くなったのか分からない。「沖縄の土には、戦没者の血と肉と骨が混じっている。魂が宿っているんです」。土砂が基地建設の埋め立てに使われかねないことに、怒りを見せた。

 南城市のフリースクール「珊瑚(さんご)舎スコーレ」の生徒ら約30人は、鉱山が見える場所で平和ガイドから説明を受けた。中等部2年の平良栄太さんは「この下にも遺骨があるかもしれない。重い気持ちになりますね」と地面を見つめていた。