時代は大きく変わっているというのに、いつまで選べない時代が続くのか。司法の務めは果たされていない。

 夫婦別姓を認めない民法などの規定が憲法に反するかどうかが争われた家事審判の決定で、最高裁大法廷は「合憲」とする判断を示した。再びの「合憲」は2015年の大法廷判決を踏襲している。

 家事審判を起こしたのは東京都内に住む3組の事実婚夫婦。別姓での法律婚を希望したが婚姻届が受理されず、「法の下の平等」や「婚姻の自由」を定めた憲法に違反すると訴えていた。

 最高裁は決定理由で、働く女性が増え選択的夫婦別姓への支持が増えたという事情を踏まえても「15年の判断を変更すべきだとは認められない」と結論付けた。

 本当にそうなのか、疑問なしとしない。

 17年の内閣府の世論調査で、選択的夫婦別姓導入を容認する人の割合は42・5%と過去最高となった。反対は29・3%。

 報道機関などの調査でも賛成の割合は増しており、若い世代ほど好意的に受け止めていることが分かる。根底にあるのは「個人の自由の尊重」だ。

 さらに最高裁は「この種の制度は、国会で判断されるべきだ」として、取り組みを立法府に委ねた。

 6年前も同様に国会にボールを投げ返したが、自民党内保守派の反対が根強く「塩漬け」状態となっている。

 国会で議論されず、司法が判断を避ければ、不平等は放置され続ける。

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 法制審議会が選択的夫婦別姓の導入を含む民法改正を答申したのは、今から四半世紀も前のことだ。その時、生まれた子どもが、結婚を考える年齢になるほどの長さである。

 いずれかの姓を選べるという民法の規定は、一見平等に見えるが、現実には96%のカップルが夫の姓を名乗っている。

 この間、女性の社会進出などを背景に選択的夫婦別姓を求める声が強まった。姓の変更がキャリアの分断や自己喪失感につながるなど不利益が指摘されているのだ。

 最高裁は15年の判決で「旧姓の通称使用で、不利益は一定程度緩和できる」とした。今回の裁判でもその判断を踏襲するが、二つの名字を使い分ける負担は思っている以上に大きい。

 重要なのは本質的な選択の自由である。

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 注目したいのは裁判官15人のうち4人が「違憲」の意見を述べていることだ。

 弁護士出身の草野耕一裁判官は「導入で向上する国民の福利が大きいのは明白。導入しないのは、あまりにも個人の尊厳をないがしろにする」と批判した。「合憲」判断で決着ではなく、むしろ少数者の権利の尊重という本質的な課題が浮き彫りになった。

 社会が変わり、国民の意識が変われば、法律も時代に合わせて変えていかなければならない。

 合憲判断に立ち止まらず、立法府もその責務を果たすべきだ。