琉球大学工学部の宮田龍太助教らは25日、同大で記者会見し、台風の勢力をより高精度に推測する人工知能(AI)を開発したと発表した。台風の目などの形状がはっきり分かるように加工した気象衛星の画像約4千枚をAIに繰り返し認識させた。深層学習(ディープラーニング)によって、推定精度がこれまでの研究より約20ポイント高い76・8%まで向上した。最も勢力が強い「猛烈な台風」の予測精度も72%に向上した。

赤色部分がAIが判断する上で最も重視した領域。原画像はAIが台風の目からずれていたが、魚眼加工した画像では目に合っていた(琉球大学提供)

 現在は、気象庁の予報官らが衛星画像に写る雲の形状から推測している。ただ、判断基準が予報官の経験に左右されることもあり、正確性が課題となっている。宮田氏らは精度を上げるため、台風の勢力を決める「目の大きさ」や「雲の形」などの特徴を画像データから学んだAIを開発した。

 AIがより認識しやすいように、台風の中心に合わせて魚眼レンズ風に画像を加工した。画像を見せて、その台風の勢力を学習させた。学習に使ったのは、2005~14年に発生した全台風の画像約4千枚。15~16年に発生した台風でAIに勢力を1235回予想させて、精度を上げた。

 その結果、画像を魚眼加工しなかった場合の正当率は68・9%だったのに対して、加工した場合は正答率が76・8%に向上。「猛烈な台風」の正当率も28%から72%まで改善した。

 宮田氏は、AIの活用で防災や減災に役立つことを期待し「今後は台風の急速な発達まで予測できるように研究を重ねる予定」と話した。今回の研究成果は国際学術誌「Scientific Reports」に掲載された。