石垣市議会は28日、市自治基本条例改正案を賛成10、反対8の賛成多数で可決した。

 改められたのは、いずれも条例の根幹をなす重要な部分だ。条例は骨抜きにされたと指摘せざるを得ない。

 まず、自治条例を市政運営の「最高規範」とする位置付けが削られた。住民投票について定めた条項も、全て削除された。

 さらに「市民」の定義を「市内に住み、または市内で働き、学び、もしくは活動する人」としていたのが「市内に住所を有する人」に改められた。

 自治条例は「自治体の憲法」ともいわれ、住民が目指すまちづくりや行政と住民の役割分担などが定められている。

 その性格上、他の条例より上位に位置付ける必要がある。最高規範の削除は条例の意義を失わせかねない。

 住民投票の条項を削ったのも、条例を根拠に住民投票を求める市民の権利を奪うものだ。

 石垣市では市民団体が、陸上自衛隊配備計画への賛否を問う住民投票を求めたものの市議会で否決された経緯がある。

 市民団体は自治条例を根拠に、市議会で否決されても市長は有権者の4分の1以上の署名があれば住民投票を実施する義務があると司法へ訴えた。住民投票条項の削除に、こうした市民運動をけん制する狙いがあるのは明らかだ。

 市民の定義を狭めるのも、多様な視点をまちづくりに生かそうとする流れに逆行している。

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 問題は、条例改正の内容だけではない。その手順も問題だらけだ。

 改正案は与党議員から提出され、常任委員会での審査などの手順を踏まずに本会議で採決された。

 石垣市の自治条例は5年に1度見直し作業を行うことになっている。今年3月、有識者や公募市民らでつくる審議会が中山義隆市長へ見直しの方向性を答申しており、市執行部が検討を進めていた。

 本来なら市からの改正案提出を受け、与野党でその内容を十分に審議し結論を出すべきである。その手続きを無視し、数の力で改正を強行するのは暴挙というほかない。

 自治条例を批判し、止めようとする動きは全国的にみられる。

 石垣市でも廃止を訴える団体の関係者を迎え講演会が開かれた。2019年には自治条例を廃止するための条例案が市議会に議員提案され、賛成少数で否決されたもののわずか1票差だった。今回の改正へ続く流れがあった。

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 09年に県内で初めて制定された石垣市の自治条例は、多くの職員や市民、有識者らが携わり2年2カ月の期間をかけてつくり上げた。

 今回の改正によって、民主主義の根幹である住民自治が後退しないか懸念される。

 市議会は、なぜ必要な手順を取らず、市民の意見も聞かずに改正に踏み切ったのかを市民が納得できるように説明する義務がある。

 審議会の答申を受けた中山市長も自身の考えを市民に明らかにすべきだ。