―― では、沖縄音楽旅行恒例の全曲解説をお願いします

M.01 じんじん

―― こどもたちのアカペラ、沖縄のわらべうたのアルバムのスタートに相応しい曲

上地 そうですね。じんじんとは、沖縄の言葉で「ホタル」のこと。ホタルの様子を歌ったわらべうたです。 

村吉 レコーディング中にプロデューサーの松田一利より、アカペラにしようと提案がありました。子どもたちと息を合わせるためジェスチャーしたり、拍子をとったりと少し苦労しましたが、アルバムを初めて聞いたとき、この曲が1曲めになっていたので感動しました。 

M.02 安里屋ユンタ

―― あかまーみとこどもたちのコールアンドレスポンスも微笑ましいテイクです

上地 元歌は、沖縄県の竹富島に伝わる古謡です。これを元に、1934年に星克が作詞し、宮良長包の作曲で日本コロムビアから発売され、日本全国に広がり定着しました。元歌と区別するために「新安里屋ユンタ」と呼ばれることもあります。

村吉 唄三線を始めたころからずっと歌ってきました。レコーディングで改めて歌のおさらいをしたら、低音高音の音の触れ幅が大きい歌で、簡単な歌ではなかったと気づきました(笑)。

M.03 赤田首里殿内

―― 澤井毎里子の琉笛のリードが印象的。沖縄の代表的な手遊び歌となってますね

上地 琉笛の音色が優しく包んでくれてます。今では手遊び歌として、多くの県民のみなさんや観光客にも親しまれてます。歌の内容は、弥勒さまをお迎えし、無病息災、五穀豊穣、弥勒の太平の世「世果報(ゆがふ)」を願うもの。 いつの世も願いはひとつ、世果報を祈るのですね。

村吉 30年ほど前にこの歌でお遊戯をしました。次はこの音源で私の娘が踊ります。沖縄の歌はこうして繋がっていくんですね。

M.04 いったーあんまーまーかいが

―― 赤子を背負って歌う子守唄、哀愁が漂ってきます

村吉 昔の農村は、お母さんやお姉さんなど家族総出で畑仕事をしていて、子守まで手が回りませんでした。そこで、近所や親戚の幼い女の子が子守することが多かったそうです。子守姉と守児の結びつきの強さは、兄弟以上だったといいます。私も子守のときについつい口ずさむお馴染みの曲です。

M.05 ちんぬくじゅうしぃ

―― 言葉遣いも面白い新民謡の「ちんぬくじゅうしぃ」、こどもたちも喜んで歌いそう

上地 歌詞も面白いですね。朝比呂志が作詞、作曲は三田信一、フォーシスターズが1968年ごろうたってヒットしたわらべうたです。「チンヌク」とは里芋のことで、「ジュウシィ」は雑炊のことを言います。

村吉 これまで何年も歌ってきましたが、このレコーディングを機に先輩方の音源を聴き、細かいニュアンスまで修正しました。これまで以上に愛着を感じています。

M.06 芭蕉布

―― 名嘉太一郎のピアノ伴奏も美しい。芭蕉布が沖縄の風になびくそんな風景が浮かんできます

村吉 吉川安一の作詞、作曲は普久原恒勇の名曲ですね。芭蕉布とは、芭蕉の茎の繊維を糸に加工し、織り上げたもの。琉球王朝の元では租税として上納させられたといいます。

上地 実は、表現がとても難しく苦手な曲なんです。美しいメロディーをゆったりと表現したかったので、ふたりの呼吸を合わせるのにとても時間がかかりました。名嘉太一郎さんのピアノ伴奏のおかげで、うまく表現することができました。

M.07 浜のアーマン小 歌/新垣日向

―― 新垣日向の歌がとても素朴でいいですね

村吉 小学4年生の日向の歌がホッコリします。沖縄方言の発音がむずかしく、南大東の祖父に指導してもらったり、移動中も車の中で大きな声で歌い、とても楽しく覚えることができたそうです。日向に歌ってもらって良かったと思いました。

上地 この歌に出てくる「アーマン小」とはヤドカリのこと。ちなみにオオヤドカリは「アンマク」(ワンパク小僧の意味)とも言います。ほんと、日向の歌声に私たちも癒されました。

M.08 ウーマクカマデー

―― わんぱくな男の子の武勇伝(笑)。とても微笑ましい曲ですね

上地 そうですね(笑)「ウーマク」とは、わんぱくという意味。カマデーはこどもの名前です。

村吉 母子の愛ある物語。子育てを楽しんでいる様子が目に浮かぶ、素敵な歌だなと思います。ゆったり、心地よく表現できました。

M.09 童神 歌/上地愛美

―― 言わずと知れた古謝美佐子さんの名曲

上地 多くのアーティストがカバーをしている名曲なので、プレッシャーもありましたし、レコーディングではかなり緊張しました。こどもたちへ「産まれてきてくれてありがとう」という気持ちを込めて歌いました。子育ては雨も風も、ときには嵐もやってきます。同世代のお母さん方にも聴いていただければうれしいです。勇気と感動を共有できればと思います。

M.10 てぃんさぐぬ花

―― 県民愛唱歌にも選定された沖縄民謡の決定版。6番まで収録してます

村吉 一番の歌詞には、「鳳仙花の花は爪先に染めて、親の教えは心にそめなさい」という意味があります。幼い頃から大好きな歌。私自身が母となったことで、この歌の親の心が痛いほどわかるようになりました。

M.11 耳切坊主(大村御殿)

―― 昔、祖母から子守唄として歌ってもらいましたが、幼心に怖かった思い出があります(笑)

村吉 ほんと沖縄の昔話や子守唄には怖いものがありますね。耳切坊主は、大村御殿の角に3体、4体と複数であらわれる耳が無い僧の悪霊で、手には鎌や小刀などの刃物を持ってます。泣きやまない子がいると刃物で「耳グスグス(耳を切り取って)」してしまうという恐ろしい話。今でも私も怖いなと思います(笑)。

M.12 花ぬ風車

ーー 花の風車を持って遊ぶ子どもたちが走り回っている、そんな古き良き沖縄の風景が蘇ってくる歌ですね

村吉 そうですね、古の沖縄を思い浮かべながら歌いました。

上地 「カジマヤー」とは、風車のこと。沖縄にはトゥシビーという生年祝いがあります。 その中でも数え年97歳の長寿のお祝いは盛大に祝われ「カジマヤー」と呼ばれます。

村吉 いつまでも長寿の島であって欲しいと思います。

M.13 島々清しゃ

―― 作詞は、久米 仁、普久原 恒勇の作曲による新民謡。美しい沖縄の島々の映像が広がる名曲です

上地 故郷の懐かしい風景を美しい言葉とメロディーで描写した郷愁感を誘う、そんな歌ですね。

村吉 城跡や御願所、畑、立ち上る白い煙……。心が洗われる清々しい風景を思い浮かべながら歌唱しました。

M.14 ばんがむり(子守唄)歌/村吉茜

―― 宮古島に伝わる子守唄。ピアノの伴奏と三線のアンサンブルがとても美しい

村吉 「バンガムリ」とは、我が守りという意味です。かつて宮古島にいた子守姉(ムイアンガ)が、奉公先の子を優しく歌いながらあやす様子を描いた歌です。「いったーあんまーまーかいが」同様、我が子を寝かしつけるときに子守唄としてリアルタイムで活用してます。ピアノの音は子守唄とマッチしますね。私もこの曲のアレンジは大好きです。

M.15 クェーブー沖縄

―― 食べものを大切にする沖縄らしい新しいわらべうた。子どもたちの歌唱がのびのびとしてていいですね

村吉 クェーブーとは、偶然ご馳走にありつけた幸運という意味です。

上地 純粋な子供だからこその「幸運」なのかもしれませんね。純粋な心、大人になっても大切にしたいと思います。

村吉 実は、レコーディングがキッカケで知った曲なんです。収録は一発オーケーでした!!

M.16 えんどうの花

―― とても美しいメロディー、この曲を聴くと郷愁感が湧いてきます

村吉 教育者であり、沖縄を代表する音楽家、宮良長包が作曲、小学校で教鞭をとっていた金城栄治作詞による楽曲です。私たちの先輩の世代は、学校の下校時に校内放送で流れていたそうです。

上地 お家に帰りたくなりますね(笑)。名曲です。

M.17 三村踊り(三村節)

―― 沖縄の村々を活き活きと歌っている「三村踊り」、古の沖縄が蘇るアルバムのフィナーレに相応しい曲。カチャーシーを踊りたくなります

村吉 沖縄本島の三つの村を連ねて、その地域の特色を商いの場面を通して活き活きと描いた歌です。

上地 この歌に出てくる歌詞「元カンジュンド」とは、元が取れないよ、損をするよという意味。ちゃんとサンミー(計算)しないとですね(笑)。

―― すばらしいアルバムが仕上がりました。あらためて読者のみなさんにメッセージを

村吉 『沖縄みんなのうた』を聴きながら、家族で沖縄の歌を楽しんでください。

上地 若い世代にも手に取ってもらって、沖縄の歌を未来に繋いで欲しいと思います。

ふたり あかまーみの応援、よろしくお願いします。

【あかまーみ PROFILE】

久米島出身の村吉茜と舞踊集団「花やから」のメンバー、上地愛美とのデュオユニット「あかまーみ」。共に幼い頃から琉球芸能環境に浸かり、新唄大賞、民謡・古典コンクールで数々の賞を受賞したその実力は折り紙つき。2016年結成。ファースト・アルバム『巡』からおよそ5年ぶり、2枚目のアルバム『沖縄みんなのうた』を発売!

 

【あかまーみ/沖縄みんなのうた】

ARTIST:あかまーみ

CD TITLE:『沖縄みんなのうた』

RELEASE:2021年3月24日

PRICE:3,000円(tax in)

CODE:TUNE-19

詳細:あかまーみオフィシャルFacebook

https://www.facebook.com/profile.php?id=100050026848631

【収録曲】

01.じんじん(アカペラ)02.安里屋ユンタ 03.赤田首里殿内 04.いったーあんまーまーかいが05.ちんぬくじゅうしぃ 06.芭蕉布 07.浜のアーマン小 歌/新垣日向08.ウーマクカマデー 09.童神 歌/上地愛美 10.てぃんさぐぬ花 11.耳切坊主(大村御殿) 12.花ぬ風車 13.島々清しゃ 14.ばんがむり(子守唄)歌/村吉茜 15.クェーブー沖縄 16.えんどうの花 17.三村踊り(三村節)

 

沖縄市民会館 Presents あかまーみ 沖縄みんなのうた CD発売記念ライブ

日程:2021年10月2日(土)

   ※緊急事態宣言延長に伴う7月10日の振替公演

時間:開場18:30 開演19:00

会場:沖縄市民会館中ホール

出演:あかまーみ(村吉茜、上地愛美)、

   あかまーみJr.(新垣日向、比嘉愛絆、國吉莉奈)

   伊波はづき(太鼓)、名嘉太一郎(キーボード)

   ゲスト 花やから、松田一利

司会:比嘉紗里衣

料金:大人2,,000円 小人1,000円(中学生まで)未就学児無料 

   ※当日は各500円増

券売:キャンパスレコード・津波三味線店・あしびなー 他

主催:NPO法人 美らまちネット・有限会社キャンパス

問合:キャンパスレコード 098-932-3801

【ご来場の皆様へ 新型コロナウイルス感染症拡大防止のためのお願い】
  • ご来場の際はマスクの着用、検温と手指消毒のご協力をお願いします
  • 体温37.5℃以上の方、体調不良の方は入場をご遠慮下さい
  • 出演関係者への差し入れや楽屋への面会はご遠慮下さい
  • 万一の場合に備え、ご来場の際はお名前とご連絡先の記入をお願いします

【筆者PROFILE】 沖縄カルチャーの広告塔 幸田 悟 PLANNING OFFICE Coda 代表
 

 1980年代より自身もミージシャンとして沖縄県内外で活躍。1998年創刊の月刊ハンズ編集長を経て、2009年よりPLANNINING OFFICE Codaにて、沖縄カルチャー発展のための新事業を展開。沖縄クリエイティブシーンに精通し音楽、アート、エンターテイン メント、ファッションなどとリンクした企画、デザイン、制作を行っている。また、ラジオテレビ番組制作&DJ、TVコメンテーター、 イベントMC、自社出版本、WEBサイトなど各メディアを通して沖縄県内外に沖縄カルチャー情報を発信。沖縄アーティストがア テンドする沖縄音楽旅行本「沖縄音楽旅行」の出版、Webマガジン「沖縄LOVEweb」など自社メディアの発行人を務める。 http://okinawaloveweb.jp