名護市辺野古の新基地建設で、埋め立て海域に生息するサンゴを巡り、農相が移植を許可するよう指示したのは国の違法な関与だとして、県が取り消しを求めた訴訟の判決で、最高裁は、県の上告を棄却した。県が敗訴した高裁判決が確定した。

 国の主張を追認する一方的な判決である。新基地に反対する県民の声は最高裁でも封じ込められた。

 沖縄防衛局は2019年、小型サンゴ類約4万群体の移植の採捕許可を県に申請した。県が一定期間を経過しても判断しなかったため農相は20年2月、地方自治法に基づき、県に是正を指示していた。

 最高裁は「工事でサンゴ類が死滅する恐れがある以上、避難のために移植する必要があった」と指摘。防衛局の申請に対する県の対応は「裁量権の逸脱だ」とした。

 一方で、注目されるのは、最高裁第3小法廷の5人のうち、宇賀克也、宮崎裕子両裁判官が反対意見を述べている点だ。

 軟弱地盤の改良工事の手法などを示す変更承認申請を出さないまま、県にサンゴの採捕許可を求めたことについて「海底などの情報が不確実な段階で審査されることも想定される」と指摘。県の「裁量権の範囲の逸脱または乱用として違法であるとは言えない」とした。

 県側の主張が一定程度受け入れられた形だ。県が敗訴したとはいえ、司法が、国へ「お墨付き」を与えたわけではないことを、強調しておきたい。

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 宇賀裁判官は、変更申請が客観的に見て実現不可能な場合には、目的は実現できず、埋め立て工事の続行は許されるべきではなく、当初の承認は撤回されるべき」と踏み込んだ。

 さらに、変更申請が不承認になった場合、「サンゴ類の移植は無駄になるばかりか、生残率は高くなく、水産資源保護法の目的にも反する」とサンゴ保護につながらないとの見方を示した。

 「木を見て森を見ず」と国の工事の進め方を批判する指摘もあった。

 宮崎裁判官は、環境保全も含め、変更申請が承認されるかが「要考慮事項」と県の判断に注目している。埋め立て承認時になされた環境保全に十分配慮されたものだとする判断自体が「実質的に無意味なものになった」と断じた。

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 全国知事会は先月、地方自治体が下した処分に対し、国が異を唱えられる「裁定的関与」の見直しを求めることを決めた。国と地方自治体は「対等な立場」とする提言をまとめたのだ。

 玉城デニー知事は判決に対し、「地方公共団体の自主性と自立性が著しく制約されることになる」と強い危機感を示した。

 ただ、2人の裁判官によって、県の主張の正当性を裏付けられたことは評価している。

 裁判では負けたが、県民の辺野古反対の意思は変わっていない。

 政府は最高裁の判決結果をすべてと考えず、反対意見にも耳を傾け、強引な工事の進め方を見直すべきだ。