琉球舞踊の分野で初めて、人間国宝(重要無形文化財保持者)が誕生する。

 新型コロナ下の沖縄に届いた吉報を喜びたい。

 国の文化審議会が琉球舞踊立方(踊り手)の宮城幸子さん、志田房子さんの2人を人間国宝に認定するよう答申した。

 琉舞は2009年に国の重要無形文化財に指定されたが、個人を認定する人間国宝は初めてだ。

 県内の芸能分野から、女性が国宝に認定されるのも初めてのことである。

 宮城さんは、女性舞踊家の草分けである故真境名佳子さんのもとで技量を磨いた。気品のある、優美な古典女踊に定評がある。

 自身の琉舞道場で長く、後継者の育成にも力を入れている。

 志田さんは、琉球舞踊の重鎮、故玉城盛重さんをはじめ、さまざまな師匠に師事し、古典から雑踊まで多彩な技を身につけた。

 東京を拠点にし、琉舞の全国発信に尽力している。

 「厳しさから生まれてくる品格」

 真境名さんが琉舞の本質を問われ、答えた言葉だ。芸の道の険しさが垣間見える。

 宮城さん、志田さんはそれぞれ70年、80年の長きにわたり芸の道を歩んできた。ここに至るまでの道は決して平坦でなかったはずだ。

 2人に敬意を表するとともに、2人を含め、先人が培ってきた琉球舞踊の美の魅力を再確認する機会にしたい。

■    ■

 芸能分野の人間国宝は県内から8人誕生しているが、女性は初めてである。関係者からは「画期的」の声が上がった。

 琉球舞踊や組踊は琉球王国時代に生まれ、士族の男性によって演じられてきた。

 組踊は、歴史的経緯から、国の重要無形文化財に指定されて以降、正式に上演する際は、立方を男性が務める決まりができた。

 琉舞舞踊も男性が主流だったが、男性の数が減った戦後は、女性が担い手として、中心的な役割を果たした。

 実演家や女性が主宰する道場が増え、女性の習い事として普及、定着していった。

 「かぎやで風」は結婚披露宴の余興の定番であり、琉球舞踊は今も、県民生活の身近なところにある。

 女性が琉舞の隆盛を支えてきたのは間違いない。功績が認められた形で、関係者の喜びはひとしおだろう。

■    ■

 宮城さんは「生きている限り琉球舞踊を次の世代に伝えたい」、志田さんは「若い人のためにも、やっと門が開けた」と後進の育成に意欲を示した。

 時代が変化する中で、伝統の技をどう継承していくか。簡単な課題ではない。

 琉舞はこれまで新作を加えながら発展してきた。基礎を大切にしながら、変化を恐れず、琉舞の極意をつなぐ取り組みが必要だ。人間国宝となる2人は、琉舞に携わる人の目標になるだろう。しっかりとバトンをつないでほしい。

 琉舞の魅力を発信し、さらに裾野を広げることも大切だ。