「沖縄にはもう来ない」と3年前の夏、東京の友人に告げられたことがある。古いビジネスホテルの宿泊料金が通常より3倍以上に跳ね上がったことに憤慨したためだ

▼営業畑で長く勤める友人は「価格が需要と供給で決まるのは当然」とした上で、「価格に見合うサービス内容ではなかった。せめて、ロビーに沖縄らしい飲み物ぐらい用意し、迎えてほしい」と主張した

▼世界最大級のオンライン旅行会社「エクスペディア」が2014年から16年の県内の一泊当たりの平均宿泊料金を分析、15年に高騰し、16年に大幅に下がったことが分かった

▼同社は「沖縄が高ければ、競合地に流れる」と沖縄以外のエリアの動向を踏まえた価格設定の必要性を指摘。「極端な値上げはキャンセルを招きかねない」と警鐘を鳴らす

▼昨年のゴールデンウイークに宿泊料金の高めの価格設定が敬遠され、予約が伸び悩む事態が発生した。「沖縄は高い」との印象をもたれたのが要因の一つに挙げられた

▼宿泊料金が低く抑えられてきたことを考えると、「収支に合う料金」への引き上げは仕方ない。問われるのは、宿泊客の満足度をどう高めるかだ。もうけられるときにもうけるだけの短絡的なやり方では観光客の「沖縄離れ」を招くことになり、金の卵を生む鳥の腹を裂くがごとくになりかねない。(与那原良彦)