米軍が有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)などを含む汚水を基地外に流す計画を立てていることに対し、住民や市民団体から強い反対の声が上がっている。

 発がん性が指摘されるPFOSは、自然界ではほぼ分解されず体内に蓄積されることから「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれる。地元の不安を無視して放出を強行するようなことが、あってはならない。

 在沖米海兵隊が下水道へ排出を検討しているのは、普天間飛行場内で保管している汚水だ。放出前に厚生労働省が定める暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)に処理し、飲料水基準を満たすまで濃度を下げるという。

 「処理プロセスは安全で効率的、実績のある方法」と安全性を強調する一方で、汚水の総量も濃度も明らかにしていない。

 いくら濃度を低減してもPFOSは残留性が高く、放出される量によっては人体や環境への影響が懸念される。さらに下水道から海へと流れれば風評被害を招きかねない。

 耳を疑うのは、基地外放出を選択した米側の言い分だ。専門業者に委託する従来の焼却処理は、費用と時間がかかるからだという。

 PFOSを含まない消火剤への転換を後回しにしてきたツケにもかかわらず、「台風シーズンを前に事故を未然に防止するため」との言い方は、あまりに一方的だ。

 日米地位協定は3条で米軍に「公共の安全に妥当な考慮を払う」よう義務付けている。こと環境問題に関しては、この条文を厳格に運用すべきである。

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 住民生活に直接影響する問題で重要なのは、情報公開と説明責任だ。

 汚水の濃度や総量はもちろん、いつどこからどれだけ放出するのか、浄化装置はどうなっているのか、安全性を客観的に確認する方法はなど、県民が知りたいことは山ほどある。

 残念ながら米軍の情報公開と説明責任は不十分で、不安に応えるものにはなっていない。

 普天間飛行場で2005年から16年の間、航空機燃料などの流出事故が少なくとも156件あり、日本側に通報されたのはたった4件だったことが分かっている。

 昨年4月、同飛行場からの泡消火剤流出事故で、県が現場を調査できたのは発生から11日もたってからだった。

 県民はこれまでの経験から、今回、米軍が言う「安全性」に強い疑念を抱いているのだ。

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 PFOSは国内での使用が禁止されている。宜野湾市や県が、従来通り焼却処分を求めるのは当然といえる。

 米軍基地における環境保護対策は「日本環境管理基準(JEGS)」に基づいて行われているが、PFOSが国内で禁じられている以上、国内の米軍基地もそれに従うべきだ。

 基地内で発生した汚水が、基地の外に住む住民の健康や生態系に悪影響を及ぼさないよう、内部で処理を完結させるべきである。