頸髄損傷の障がいを負い、車いすで各地を旅する「車いすトラベラー」の三代(みよ)達也さん(32)=沖縄県糸満市=が村で14日、仲間の後押しを受けてシーカヤックに挑戦した。「バリアーがあっても、周りの人の力を借りることで乗り越えられる。自分の行動が誰かの一歩につながったらうれしい」と力を込める。現在は、沖縄県内の観光地などのバリアフリー調査をし、各業者の取り組みを動画投稿サイト「ユーチューブ」などで発信。「障がいがある人のためになる情報になったり、いい事例が普及したり、多くの人の気付きになってほしい」と話す。(北部報道部・當銘悠)

シーカヤックに挑戦した三代達也さん(中央)とサポートした仲間たち=14日、今帰仁村・ビーチ「カネシバマ」

 茨城県出身の三代さんは18歳の時のバイク事故で、頸髄を損傷した。両手両足にまひが残り、車いす生活を送る。事故の後は「どうやって生きていけばいいのだろう」と絶望のどん底にいた時期も。それでも、数々の挑戦を通して少しずつ自信がついていき、28歳の時に単独世界一周を約9カ月かけて成し遂げた。これまで全国での講演や、車いすでも旅しやすいツアーの監修を手掛けている。

 今年3月、神奈川県から沖縄に移住。数カ月前、理学療法士の玉城潤さん(34)からシーカヤックに誘われたのをきっかけに、今回の挑戦を決めた。

 玉城さんの知人で、村内でシーカヤック専門店を営む運天陵さん(33)ら約10人が協力。背もたれやパドルに体と手を固定するベルト、サポーターを準備し、車いすからカヤックへ移動する際に体を支えるなどサポートした。

 波のある海での挑戦は不安もあったという三代さん。約3キロをこぎ終え「できないかもと思っていたが、皆に助けてもらったからこげた。最高です」と笑みをこぼした。

 玉城さんは「障がいがあっても助け合っていろいろなことを楽しめる社会になっていったらいいなと思う」と期待した。運天さんは「多くの人に楽しんでもらえるのでは、と思うきっかけになった」と笑顔を見せた。

 沖縄への移住後、三代さんと出会った人たちは皆、どうやったら車いすでお店に入れるかを考えてくれた。「『ゆいまーる』という言葉があるけど、沖縄独自のパワーなんじゃないかな」と話す。

 「十数年前、引きこもり生活を送っていた自分。外に出るのが怖かった当時の自分のような人を、少しでも後押ししたい」と活動に込める思いを語った。