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沖縄県のコロナ政策は「密室で議論」と指摘 会議は議事録なく非公開 調査団体IPPが検証リポート

2021年7月20日 15:45

 調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」(河村雅美代表)は19日、沖縄県の新型コロナウイルス政策の決定過程を検証するリポートを発表した。県の政策を「何を材料に、どう政策を決定したか不透明なまま、自粛と緩和を繰り返す対策が失敗しており、市民との信頼関係が失われている」と分析。庁内に複数あるコロナ関連の会議が公開されず詳細な議事録もないことから、政策決定の科学的根拠が正しいか外部が検証できない“密室性”を指摘し、透明性の確保を要望した。

県の新型コロナウイルス対策の組織(IPP作成)

 IPPは、県が設置した主要4組織の役割を整理。最終的な政策決定機関の新型コロナ対策本部を含め、全ての会議が非公開で、議事録がない点を問題視した。中でも知事不在の専門家会議は、議事や疫学データがトップにどう伝わり、政策に反映されたか不明だと疑問視。県が事後公表する「議事概要」は発言者の名前がなく「どの分野からの発言かが重要だが、匿名性により説明責任が果たせない」とした。

 IPPは開示請求で入手した会議資料などを基に昨年春夏の第1波と2波を検証。開示まで約半年を要した資料もあった。

 河村代表は「会議やデータの非公開、議事録の不存在は後世の検証のための問題ではない。全国最悪水準の感染状況にある沖縄で、県の政策は現在進行形だ」と強調。「即時的な情報公開こそが感染予防方策の一つで、県と県民の信頼関係を生む」と話す。

 リポートは、IPPのホームページ(https://ipp.okinawa/)で公開した。

議論 県民に周知されず

「ウィズコロナ」方針 情報が不十分

 IPPは県が緊急事態宣言の解除を判断した昨年9月、ある程度の持続流行を容認しながら感染拡大防止対策を講じる「ウィズコロナ」の政策にかじを切った過程を検証した。県のコロナ施策の方向性の決定にもかかわらず、議論が県民に周知されず、決定の根拠となる資料は情報が不十分だったと指摘した。

 IPPが開示請求で入手した資料によると、昨年8月27日の専門家会議は持続流行の容認と、市中感染ゼロを目指す2案を提示。議事録がなく会議の議論や結論は追えないが、同年9月4日の新型コロナ対策本部会議の議事概要には、県が持続流行の容認を選択したことが明記されている。

 リポートを監修した群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春医師は「資料には持続流行の容認が、県民に何度も自粛を要請することになるという記載がない。当時の世界的学術論文から明らかで、予測できなかったなら政策をミスリードした可能性がある」と指摘。

 「離島地域の沖縄は、最初に徹底した封じ込め対策を取って市中感染ゼロを目指せば、後は水際対策だけで経済を回せた」と指摘した。

 IPPは「2案の説明資料も、開示請求しなければ市民の目に触れることもなかった」と閉鎖性を問題視した。

県のモデル「一貫性ない」

 IPPは、県が昨年5月に策定した新型コロナウイルスからの経済回復を目指す指針「安全安心の島・沖縄モデル」について「内容の方向性と科学的根拠に一貫性がなく、ちぐはぐだ」としている。

 モデルは「ウィズコロナ」を前提としているにもかかわらず、科学的根拠として引用している論文は市中感染ゼロを目指す封じ込め路線の文献だと指摘。「この文書を統合性の面からチェックできない県の体制は問題だ。専門家会議の議論が反映されたものなのかどうか、専門家が監修に関わっているかも不明」と疑問視した。

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