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真面目に運営していても、「飲食店」だけが叩かれるシンプルな理由

2021年7月25日 07:00

[窪田順生,ITmedia]

 ここまでくるともはや「反社」扱いではないだろうか。

 7月8日、西村康稔経済再生相が酒類提供に応じない一部飲食店に対して、金融機関や取引先から働きかけてもらったり、利用客から「ぐるなび」などのクチコミサイトを通じて匿名で情報提供をしてもらったりする、という考えを示して大炎上し、「撤回」に追い込まれた。

 これは当然といえば当然だ。表現がマイルドになっているだけで、本質的な部分では「暴力団排除」でやっていることと大差がないからだ。

コロナ禍、外食が叩かれている(出典:ゲッティイメージズ)

 例えば、暴力団の構成員や密接交際者だと判明した場合、金融機関で即座に取引が停止される。また、最近は多くの企業が商取引に「暴排条項」を盛り込んでいるので、反社認定されれば当然、取引もストップされる。また、全国の警察は暴力団を社会から撲滅するため、一般市民からの情報提供のために「匿名通報ダイヤル」なども設けている。つまり、「金融機関」「取引先」「匿名タレコミ」でプレッシャーをかけるのは、「国家として撲滅しなくてはいけない人々」に対して行われるものなのだ。

 西村大臣は、それをカタギの商売人たちにやろうとしていた。しかも、法的根拠はゼロ。辞任せずに済んでラッキーくらいの「暴挙」と言えよう。

 ただ、これは裏を返せば、今の日本において飲食店というものが、「どんなひどい扱いをしてもいい存在」となってしまった現実を示している。感染防止をしっかりやれと言うので、最後の力を振り絞ってしっかりやったら「酒を出すな」――。「命を守るため」「感染が広がってもいいのか」と逆ギレすれば、これまでは絶対に許されなかった特定事業者への差別・攻撃もギリ通ってしまう。そういう感覚の麻痺(まひ)が、西村大臣や周辺の官僚の状況判断を狂わせたのではないか。

 そこで次に気になるのは、なぜ「飲食」はいたぶってもいいような扱いになってしまったのかである。いろいろなご意見があるだろうが、筆者はシンプルに飲食という産業が「弱い」ことに尽きると考えている。経済的にも政治的にも弱者なので、権力からスケープゴートにされてしまっているのだ。

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