殻のないぶよぶよの卵が、ベルトコンベヤーに点在する。宜野座村松田の養鶏場。経営する男性(73)は「オスプレイが夜飛ぶと、必ずぶよぶよが交じる。夜のうちに殻を作れないから」と話す。

民家の屋根をかするように低空飛行するオスプレイ=2013年1月11日、宜野座村城原区

 約10万羽を育て、沖縄県内で指折りの規模。キャンプ・ハンセンが近く、オスプレイは真上を飛ぶ。「鈍く低い音で、地響きがする。2機編隊で来るときは、人間だって怖い」

 ニワトリはさらに音に敏感で、男性が鶏舎内でくしゃみをしても驚くほど。50センチ角ほどの狭いかごに5、6羽ずつ入れられていて、オスプレイが飛ぶと一斉に暴れだす。

 お互いに、あるいはかごに体をぶつけ、血を流すものもいる。衝撃で、産んだばかりの卵が割れる。再び産むのに時間がかかったり、そのまま産まなくなってしまったりするニワトリも。「動物は物を言えないけど、被害は大きいよ」

 従来のヘリ訓練でも同じような被害があったものの、オスプレイが飛んだ日は「感覚的に1・5倍強」と男性。手間を考えて補償請求には二の足を踏んでいたが、「機数が倍になってこの上を飛び回るようになれば、我慢してはいられない。被害は言わなければ伝わらない」と語る。

 「あれだけ反対したのに、また持ってくるなんて」。3日のオスプレイ追加配備を伝える新聞を、男性は憂うつな気分で眺めた。普天間のゲート前では、沖縄県警が抗議の座り込みをする市民をごぼう抜きにしていた。「日本の安全という名目で犠牲にされ、最後は沖縄人同士、けんかまでさせられて。僕たちが生まれ育った島を、これ以上勝手にさせてはいけない」

 さらに5日になって、空軍ヘリが養鶏場からわずか2キロほどの地点に墜落。夜になって出先から戻った安里さんは、ニワトリの無事確認に追われた。

 「オスプレイも元からいるヘリも、いつどこに落ちるか分からない。そんな物の下で、僕たちもニワトリも、いつまでもビクビクして暮らしてはいられない。立ち上がらなければ」(社会部・阿部岳