社説

社説[感染者が過去最多]若者に届く言葉 必要だ

2021年7月29日 06:25

 緊急事態宣言中にもかかわらず、新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を更新した。

 27日の感染者数は354人。28日も347人と厳しい状況が続いている。

 玉城デニー知事は急速な拡大に「最悪と言っても過言ではない」と、異例の表現で危機感を示した。

 猛威を振るっているのは感染力の強い「デルタ株」。検査数に占めるデルタ株疑いの陽性割合は56・2%と半数を超え、急速に置き換わりが進んでいる。

 深刻なのは、若者への広がりだ。28日に最も多かったのは20代の72人、30代の69人と続いた。

 コロナ禍とはいえ夏休み中の8月は多くの観光客が訪れ、人と人が接触する機会が増える。

 県の疫学統計・解析委員会は「来月上旬にはかつてない規模の流行に至る」と予測している。歯止めをかけねば、オーバーシュート(爆発的患者急増)が起きかねない。

 心したいのは、今回の急拡大は、友人や知人など県民同士の会食による感染パターンが多いと分析されている点だ。

 緊急事態が5月23日から2カ月以上の長期にわたり、県民の自粛疲れが行動に表れているのだろう。

 初期の緊張感を保ち続けるのは難しい。ただ、気の緩みが健康リスクや医療逼迫(ひっぱく)を招きかねない。玉城知事は、特に若者に危機感が伝わる言葉の発信が必要だ。

■    ■

 鍵を握るワクチン接種も思うように進まない。26日時点で、沖縄の全世代の接種率は全国最下位だ。

 背景には、国からの供給不足がある。

 全国知事会は緊急提言で「国の方針に基づき接種に全力を挙げてきたのに、はしごを外され混乱している」と迫った。

 こうした事態を受け、菅義偉首相はファイザー社の最高経営責任者に、10月以降に予定する供給分の前倒しを要請した。市町村へ切れ目なく供給できる態勢を整えてほしい。

 ただ、ワクチンへの過信は禁物だ。発症や重症化の抑制は期待できるが、感染を100%防げるわけではない。クラスター(感染者集団)が起きたうるま市の医療機関では、2回の接種を済ませた人も感染した。

 接種したからといって、安心しコロナ前の生活に戻してしまうと、リスクが高まる。収束までは新しい生活様式を保ちたい。

■    ■

 長期の自粛を強いられる飲食や観光事業者は、存続の危機に立たされている。宣言期限の8月22日まで耐えられず、深夜営業に踏み切る飲食店も出ている。

 緊急事態宣言という強い措置を講じている以上、国は時短や休業要請に協力してもらうため、協力金の拡充など追加の支援を講じるべきだ。

 危機感を伝えるため、玉城知事と小池百合子都知事が合同で要請してもいいのではないか。

 市民と事業者を守り、医療崩壊を食い止めるため、あらゆる知恵を絞ってほしい。

沖縄県内の「新型コロナ」これまでの記事一覧

連載・コラム
記事を検索
注目コンテンツ
目指せセンバツ 県秋季沖縄大会イニング速報
目指せセンバツ 県秋季沖縄大会イニング速報
来春の選抜大会の切符を懸けて戦う九州大会の出場を目指し「第71回沖縄県高等学校野球秋季大会」の全試合をイニング速報します。
全国電話世論調査2021
全国電話世論調査2021
世論調査について、ビジュアル重視のデジタルコンテンツを作成。緊急世論調査の内容をお届けします。
復帰のエピソードお寄せください
復帰のエピソードお寄せください
日本復帰にまつわる体験や、半世紀を振り返っての思いなどをお寄せください。
「衆院選2021」特集
「衆院選2021」特集
デジタルコンテンツ「衆院選2021」は、「データで見る選挙の歴史」など計6回程度を順次掲載予定です。
SDGs企画「未来へ#いのちを歌おう」
SDGs企画「未来へ#いのちを歌おう」
Kiroro玉城千春さんが沖縄県内の小・中学校を訪ねて、夢、命の尊さを届けます。
不器用トーク・アーカイブ
不器用トーク・アーカイブ
不器用トークのアーカイブページです。毎月1回、まさに今、現場で取材している記者たちが、それぞれのテーマについて熱く語ります。
命ぐすい 耳ぐすい
命ぐすい 耳ぐすい
沖縄県医師会の各分野の医師による医療・健康に関するコラム
胃心地いいね
胃心地いいね
沖縄タイムスの各市町村担当の記者が、地域で話題のお店や人気グルメを食べ歩きます。
アクロス沖縄
アクロス沖縄
東京発 各分野で活躍する情熱県人らを紹介
ワールド通信員ネット
ワールド通信員ネット
世界各国の沖縄県系人の話題を中心に、海外通信員が各地のニュースをお届けします
マンガ家大城さとしが行く!沖縄のじょ~と~企業探訪
マンガ家大城さとしが行く!沖縄のじょ~と~企業探訪
おばあタイムスでおなじみのマンガ家・大城さとしさんが長編マンガで沖縄の企業を紹介するシリーズ企画です。
沖縄球児の思い出づくりサポート 高校野球写真サイト
沖縄球児の思い出づくりサポート 高校野球写真サイト
沖縄の高校球児たちの思い出づくりをお手伝いするために、県内大会の写真販売サイトを開設しました。※閲覧・購読は関係者のみ。パスワードが必要です。