[森どぅ宝 世界自然遺産へ]

(資料写真)マングース

沖縄本島北部での生息域の推移(Biological Invasions23;2249-2260の図を編集)

(資料写真)マングース 沖縄本島北部での生息域の推移(Biological Invasions23;2249-2260の図を編集)

 世界の侵略的外来種に指定され、ヤンバルクイナを捕食するとして県や環境省が本島北部の世界自然遺産登録地などで防除を進めるマングースが、ノグチゲラやホントウアカヒゲといった飛べる鳥も捕食し、生息域に悪影響を与えていることが分かった。森林研究・整備機構森林総合研究所(茨城県)などの研究チームが明らかにした。同研究所の八木橋勉森林動態担当チーム長(51)は「木登りが苦手なマングースが、飛べる鳥にも大きな影響を与えていたのは意外な結果だ。将来的に防除範囲を広げる必要がある」と指摘する。(北部報道部・西倉悟朗)

 研究チームは、鳥が仲間の鳴き声に呼応する性質を利用して生息域を調査する「プレイバック法」を採用。本島北部固有の、ヤンバルクイナ、ホントウアカヒゲ、ノグチゲラの3種について、録音した声を国頭、大宜味、東村に広がるやんばるの森約280カ所で流し、分布域を特定した。調査は2007~16年にかけて、3年ごとに計4回実施した。

 その結果、3種ともマングースが少なく、広葉樹林面積が広い地域に多く分布していることが判明。一方、防除が手薄な地域では3種ともほとんど確認されなかった。ホントウアカヒゲ、ノグチゲラは餌を食べようと地上に降りた時などに捕食されているとみられる。さらに統計解析をすると、調査期間では広葉樹林の面積よりも、マングースの存在の方が、分布域を決定付ける要因として影響が大きいことも分かった。

 論文では、1900年代初頭までは、ノグチゲラは本島中部以北、ホントウアカヒゲは本島の広範囲に分布していたと指摘。八木橋さんは「ヤンバルクイナもマングースの影響を受ける以前はもっと南側まで分布していたはずだ」と話す。

 「県と環境省のマングース防除は、希少種の分布回復に貢献した。その結果、世界自然遺産登録にもつながっただろう」と強調した上で「今後も3種を確実に保全し分布域を広げるためには、マングースの防除区域をさらに拡大する必要がある」と提言した。

 論文は7月に発刊された国際科学誌「Biological Invasions」に掲載された。