沖縄防衛局は29日、名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県から特別採捕を許可された大浦湾側のサンゴ類の移植作業を始めた。県側は許可に際し、水温の高い時期を避けるなどの条件を順守するよう求めており、夏場の移植作業に反発を強めている。

沖縄防衛局

 今回移植が許可されたのは大浦湾側に位置する約4万群体。夏場の高水温時期に移植した理由について、防衛省は「県が付した条件を踏まえて適切に実施している」と説明した。

 移植作業の具体的な場所は「作業員の安全確保」を理由に明らかにしていないが、サンゴ移植後に新設を予定する「N2」護岸付近とみられる。

 防衛省はサンゴ移植後、N2護岸を新設し、工事の途中で止まっている「K8」護岸の延長に着手する方針。N2護岸の先端部には揚土場を設置する予定で、工事の加速化を図る狙いがある。

 県は28日、防衛局が申請していた特別採捕許可を許可したと発表。(1)適切な移植時期の選定など「県サンゴ移植マニュアル」による適切な作業(2)移植後の1週間に1回の経過観察と県への報告-の2条件を付けていた。

■水温高くサンゴにダメージも

 名護市辺野古の新基地建設海域で沖縄防衛局が県の採捕許可翌日にサンゴ移植を開始したことに、玉城デニー知事は29日の会見で「強く抗議せざるを得ない」と批判した。「水温が高くサンゴにダメージを与える状況であれば水産資源保護にはかなっていない」と述べ、行政指導を検討する考えを示した。30日に職員を派遣し、現場を確認する。採捕現場への立ち入りも求める考え。

 移植の着手に関し事前に防衛局から県に報告はなかった。知事は「許可を受けたから勝手にやってもいいと解釈したなら非常に遺憾だ」と不快感を示した。

 県は、許可の条件として高水温期や台風時期の移植を避けることなどを付した。防衛局は県に「(条件は)適切に守られていると考えている」と返答したという。