本社加盟の日本世論調査会が実施した「平和」に関する全国郵送世論調査の結果がまとまった。

 戦争被爆国として国際社会でもっと積極的に役割を果たすべきだとの考えが、国民の間に深く浸透していることが明らかになった。

 今年1月に発効した核兵器禁止条約に日本も「参加するべきだ」と答えた人は71%に上る。

 戦争被爆国でありながら、日本は条約に参加していない。かたくなに核抑止力にすがっているからだ。「条約は分断をもたらす」とさえ批判する。

 核保有国と非核保有国の橋渡し役を担うという政府の主張は急速に色あせている。

 調査結果から浮かび上がるのは、平和が揺らいでいる、という強い危機感である。

 「日本が今後、戦争をする可能性がある」と答えた人は、「大いに」と「ある程度」を合わせて計41%に上り、昨年の調査から9ポイントも上昇した。

 「米中対立が強まり、有事が起きれば巻き込まれるから」との回答が多かった。

 興味深いのは、緊張の高まりによって憲法9条の意義があらためて見直されていることだ。

 自衛隊の在り方について、74%が「憲法の平和主義の原則を踏まえ、『専守防衛』を厳守」と答えた。「9条を改正して『軍』として明記」と答えた人は21%にとどまる。

 政府はこうした民意を踏まえ、主体的に緊張緩和のビジョンを示すべきだ。

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 米軍普天間飛行場の辺野古移設について、政府の姿勢を「支持しない」と答えた人は、「支持する」の38%を大きく上回り、57%に上った。

 軟弱地盤の存在が明らかになり、先の見通しが立たなくなったことが影響しているのだろう。

 ただ、気になる数字もある。「国外移設」29%、「普天間飛行場閉鎖」22%に対し「普天間を引き続き使用」が24%もあるのだ。

 「沖縄以外の国内移設」は17%にとどまっており、それよりも「継続使用」が多いのである。

 普天間飛行場の「一日も早い危険性の除去」の必要性が、まだ十分に理解されていないというほかない。

 玉城デニー知事が辺野古移設に反対していることは全国的に広く知られている。政府の姿勢を「支持しない」という全国の声をどのように政治の場にのせていくか。発信力を強化する必要がある。

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 終戦の日に開かれる全国戦没者追悼式で、歴代首相は加害者としての反省に触れてきた。

 安倍晋三前首相は2012年の第2次政権発足以降、言及しなかった。菅義偉首相はどうすべきか。

 「加害と反省に言及するべきだ」47%に対し、「必要はない」と答えた人は49%で、ほぼ拮抗(きっこう)している。若い世代に「必要ない」が多い。

 懸念されるのは、日中戦争が忘却され、加害意識が日本社会から急速に薄らいでいくことだ。若い人たちに届く言葉や手法が求められている。