沖縄本島中部地域にある産婦人科医院で男性院長が患者の緊急帝王切開手術をしていないにもかかわらず、虚偽の申告をし診療報酬をだまし取った疑いが出ている問題で、入院患者の点滴薬などでも診療報酬を不正に請求した疑いがあることが新たに分かった。複数の院関係者が証言した。県警は2日までに、不正受給の疑いが強まったとして同院を家宅捜索した。診療報酬を巡る詐欺事件に発展する可能性がある。

ある入院患者の投薬状況を記したカルテ。「●」は実際に使っていない高額な薬剤

診療報酬を巡る構図

ある入院患者の投薬状況を記したカルテ。「●」は実際に使っていない高額な薬剤 診療報酬を巡る構図

 男性院長は本紙の取材に対し「レセプト(診療報酬明細書)に書いてある薬剤しか使っていない」と否定。「看護師も忙しいので、予定にない薬を使ったけどもカルテへの転記漏れ、というのはあると思う」などと語った。

 本紙は虚偽の記載があったとされるある患者のカルテとレセプトを入手。カルテには特定の薬剤に「●」や「★」印が付く。院関係者によると、記載はあるが、印のある薬剤は実際は使っていない。その患者に投与してはいけない種類のもので、なおかつ高額だという。「看護師が間違えて投薬しないよう印を入れる。スタッフ間で暗黙の了解となっていた」と話す。レセプトにはこのカルテと同じ内容が記録されている。

 複数の院関係者によると、実際使っていない薬剤の架空請求は入院患者の点滴薬が多く、毎月の診療報酬請求で少なくとも100~150万円はあったと証言する。

 架空計上した薬剤を記載した診療明細書は退院時に患者本人に渡すが、院関係者によると「これまで一度も不審に思われたことはない」という。「点滴薬の本数や種類、どれを使ったか普通の人は分からないため、うそが含まれていても患者は気付かないケースがほとんど」とも語る。

 九州厚生局によると、診療報酬の不正請求は健康保険法違反となる。違反すれば保険医療機関の指定、保険医の登録取り消しとなる場合がある。