[ニュース断面]

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、県がサンゴ移植に必要な許可を撤回したのに対し、防衛省は2日、処分の無効化を狙い、審査請求や執行停止を申し出た。環境保全は二の次で工事推進へ前のめりになるのは、新基地建設の既成事実化を図る狙いが透ける。反発を強める県は、軟弱地盤改良工事のための変更承認申請を今月中旬にも不承認とする構えで、攻防は激しさを増している。(政経部・大城大輔、東京報道部・嘉良謙太朗)

 7月28日に県が許可し、翌29日には国が移植開始。すると30日に県が許可を撤回。週末を挟んで8月2日には国が対抗措置と、目まぐるしく情勢は変転した。進められるところから少しでも工事を進めたい国の思惑は如実に現れている。

 「夏季とされる7月から9月に移植を制限されればI地区は全く許可されていないことと等しくなる」。岸信夫防衛相は2日の会見で、沖縄防衛局が着手した地点の採捕期間が許可から2カ月間となっていることを踏まえ、県の撤回処分に疑問を呈した。

 防衛省が対抗措置とした審査請求を巡っては今年6月、全国知事会が「国と都道府県が、対等な立場で責任を果たせるよう見直すこと」と、国の関与のあり方再考を求めている。

 防衛省幹部は「制度があるので、使ったまでだ」と言い切る。別の関係者は「聴聞しない県は逆にどうなのか」と述べ、県の撤回を一方的と批判した。

 2カ月では事実上、移植を進められないとの認識は県にもあった。そのため県は撤回に先立ち、行政指導で期間の変更を促したが、防衛局は応じなかった。

 県幹部は「防衛省が、今移植しないといけないというのは詭弁(きべん)だ」と反発する。このまま移植を進めれば、生残率が低下するとして、行政手続法で聴聞の実施が適用されない「緊急性がある場合」と判断し、防衛局にも伝えた。

 防衛省は「身内」である農相に執行停止を求めており、防衛省の主張が認められる可能性が高い。県幹部は「この時期に移植を認めることは、水産資源保護に反する」と所管省庁の判断にくぎを刺す。

 県政与党幹部も「埋め立てをいかに早く進めるかという考えしかなく、本気でサンゴを守る気があるようには到底思えない」と批判する。別の幹部は...