2021年度末で期限が切れる沖縄振興策の新たな在り方について、自民党が提言をまとめた。

 コロナ禍によって拡大した経済格差を踏まえ、稼ぐ力や外部変化に強い産業の育成などを打ち出した。脱炭素やDX(デジタルトランスフォーメーション)など既存の国施策も取り込み、県民所得向上を目指す。

 引き続き沖縄振興に取り組む姿勢を示しながら、振興策が必要とされる四つの特殊事情のうち「歴史的」「社会的」事情は言及しなかった。

 歴史的事情は、沖縄戦で徹底的に破壊され、27年間の米軍占領下でインフラだけでなく社会構造までゆがんだ沖縄と本土との格差是正が振興の出発点ということ。社会的事情とは、国内米軍専用施設の約7割が集中し県経済発展を阻害していることを指す。沖縄振興と基地は無関係ではないが、基地負担の見返りではないことの理由だ。

 現振計からはこれら特殊事情に加え、アジアの成長力を取り込む国家戦略にも力点が置かれた。今回の提言はそうした経緯に触れず「安全保障」「尖閣」「地政学」「国境を担う沖縄」などの言葉を無造作にちりばめた印象だ。

 振興策継続へ党内の理解を得るためという。だが、背景説明もなく安全保障を安易な「口実」とすれば、振興の性質をゆがめかねない。

 提言には「現行法の基本的枠組みをベースに」することが記されている。ならば、現行法の前提となる特殊事情も再確認し振興策継続の理由に触れるべきだ。

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 提言で具体的な提案といってよいものは、一括交付金制度の継続と酒税軽減措置の5~10年後の終了をにじませたこと、そして沖縄振興開発金融公庫の存続だ。

 とはいえ、一括交付金は14年度をピークに毎年減額が続く。国は執行率の低さを理由とするが、執行率自体は改善傾向だ。同年末に誕生した翁長雄志県政と、その後を継ぎ新基地問題で対立する玉城デニー県政への「意趣返し」としか思えない。

 沖縄振興の「財源として必要」というなら、県政の在り方に左右されない一括交付金財源の確保策も同時に示す必要があった。

 沖縄観光の「量から質」への転換の必要性、製造業が育たず全国最下位の水準にとどまる労働生産性など、長年指摘されてきた問題意識は共有されている。それだけに政治的な違いを超え沖縄振興と向き合ってほしい。

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 提言で子どもの貧困対策が新たに取り上げられたのは評価できる。現振計策定時から課題とされつつ当初取り込むことができなかったものだ。

 しかし当時「課題を十分認識できていなかった」ことを理由に、当初案で10年とした法律の期限を明示しなかったのはなぜか。

 期間短縮を示唆するものだが、法制度は一定期間継続して初めて効果を発揮する。子どもの貧困は振計の中間見直しで課題として取り込まれた。県への揺さぶりなど政治的思惑があるなら論外で、その理由を明らかにすべきだ。