出版担当の仕事の一つが、書店への納品や棚卸しだ。路面店には正面から「沖縄タイムスでーす」と言って入るが、大型ショッピングセンターの中にある書店には検温やセキュリティーチェックを経て裏口から入る。「業者さん」と呼ばれるのは入社して20年、初めての経験だ。沖縄タイムス社の中でも、出版コンテンツ部は複数の商品を持つ唯一の部署である。

業者として入るので、用が済んだらさっさと退店しなくてはならない。話題の本をチラリ横目で見て、ああ、もう少し見て回りたいな、と思いながら、本屋さんが自分にとってどんな存在だったか、記憶をたぐってみた。すると、中学生の時によく立ち寄った那覇市三原の「たか書房」を思い出した。...