大注目の沖縄アーティストを沖縄カルチャーの広告塔 幸田悟がインタビューで深掘りする連載企画「幸田悟の沖縄音楽旅行+プラス」第八弾!! 今回は、YAASUUへのスペシャル・インタビューをお届けします!!

コロナ禍中、模索を続けるエンターテインメント・シーン。そんな中、YouTube動画や配信によるフェスやイベントを積極的に開催し、沖縄、日本はおろか、世界中を巻き込みエネルギッシュに活動しているアーティストがいる。それが、沖縄県宮古島出身のシンガー・ソングライターYAASUU。2021年7月28日には、ユニバーサルミュージックより3曲入りのEP盤「クイジンヌ」をリリースした! 音楽を始めるキッカケ、これまでの活動から現在までを網羅した、現在注目のアーティストYAASUU へのスペシャル・インタビュー!!
沖縄、宮古島つながりで広がった東京の音楽仲間
―― 音楽を始めたキッカケを教えてください
YAASUU 僕のお兄ちゃんがロカビリーのバンドをやってたんです!
―― おお! ミヤビリー(宮古島のロカビリー&サイコビリーの通称)ですね!!
YAASUU そう(笑)! 宮古島って昔からロカビリーが盛んなんですよね。お兄ちゃんのバンドのライブを見に行ったりしてて、ベースに興味をもってウッド・ベースを始めたんです。リーゼントをして、高校の文化祭でライブをやってました。
―― 高校を卒業してバンドマンを目指して上京したの?
YAASUU いやいや、ただただ東京に憧れてたんです。だから友達10人ぐらいでノープランで出てきました(笑)。いよいよ上京だって時に腕毛とすね毛を剃っていきましたね(笑)。
―― ノープラン & ノー毛?男前な上京の動機だね(爆)。それから、どういう形で音楽活動に結びついていったの?
YAASUU 最初は、東京の人には言葉も通じないという感じだったので、新宿にある民謡酒場的な沖縄居酒屋さんによく飲みに行ってたんです。そこのオーナーが「お前、楽器できるんだったらここで弾き語りしながら働けよ」って。そこで毎晩歌って、徐々に仲間を増やしていったんです。曲は、BEGINの「島人ぬ宝」のカバーなどを歌ってました。実は、三線を初めて弾いたのもその居酒屋でした。ある日、お客さんで、昔「ガルフ」というバンドをやっていた宮古島の大先輩がお店にやってきて「新しいバンド作るからおまえやれ」って(笑)。それで、そのバンドのベースを担当することになって、しばらく活動してました。すごく楽しいバンドでした。一切感動なしの純度100%のお笑いエンターテインメント・スカバンド。「お前、ベース置いてフロントマン、ボーカルやれ」って流れで、ボーカルをやることになったんです。そのバンド、ワンマンライブで300人集客できるくらい、そこそこ人気があったんです。でも、リーダーが、あるお祭りのライブで突然、「俺、宮古帰るから」って。メンバーもファンもみんな「えー」ってなって(笑)。それでいきなり、リアルに次の日に解散しました。
―― それで、その流れでソロに?
YAASUU そうなんです。僕のファンも少なからずいたので、音楽を続けたいなとソロで活動することにしました。
―― 東京に出てきて右も左もわからないところからスタートして、東京在住の沖縄や故郷の宮古島の人たちとの繋がりで、YAASUUなりのコミュニティーを作っていったんだね
YAASUU それがまさに、ソロ活動でも活きてくるんです。ソロ活動のスタートは、ギター一本かかえてひとり旅。大阪に出かけて、大阪の沖縄居酒屋さんを一軒一軒「歌わせてください」って訪ね歩きました。ありがたいことに、「頑張れよ」って、可愛がってくれるんですよね。大阪の次は、福岡……。そうやって、徐々にいろんな人と繋がり、さらに広がっていきました。県外には、沖縄関連のフェスがけっこう多いんです。おかげさまで、その繋がりで大きなフェスに呼んでいただけるようにもなりました。沖縄で、宮古島出身でよかったなと思います。
―― そして2015年、ファーストアルバム『おーきな輪』をリリースしました
YAASUU そのとき、初めてオリジナル・ソングを作ったんです。アルバムには全部で8曲収録しているんですが、楽曲制作は、1週間もかからなかったと思います。ずっとずっと心のどこかで思っていたことが、堰を切って出てきた感じでした。東京に出てこなければ、できなかった曲ばかりです。大切な故郷宮古島、そして仲間……。タイトル曲の「おーきな輪」や「西里通り」、「ワイドー」などは、今でもライブで歌っている人気曲です。僕の原点です。
宮古島への思い。ワイドー! アララガマ魂で乗り越えろ!!
―― YAASUUといえば、音楽活動の傍ら宮古島のPRも積極的に行ってるよね
YAASUU そうなんです。もともと、宮古島自体をもっと知ってほしいし、「音楽も、人も、宮古島と繋げたい」という思いで活動してたんです。それで、東京で知り合った友達と宮古島の友達を実際に繋げようと「YAASUUと行こう、宮古島ツアー」が2016年にスタートしました。
―― どんなツアーなの?
YAASUU 宮古島に到着したら、とりあえず観光ツアー。夜は、居酒屋を貸し切ってツアー参加者と宮古島の人たちの懇親会。そして東洋一に輝いた美しい浜、与那覇前浜ビーチでバーベキューをして、最後は、僕のライブを楽しんでもらうという、フルコースです(笑)。
―― 宮古島の人、自然、お酒、料理、そして音楽……。まさにYAASUUならではの繋げる宮古島満喫ツアーだ
YAASUU ツアー参加者と宮古島の人とが自然と繋がるんです。宮古島の最大の魅力は人だと思うので、そういう繋がりをどんどん広げていきたいですね。
―― このツアーは、宮古島の認知度アップと観光にも貢献してますね
YAASUU 最初は10名くらいのツアーから始まったんですが、徐々に増えてきて全国から50名を超える人が参加してくれるようになり、徐々に大きくなっていきました。宮古島では、知り合いが知り合いを呼び、みんな繋がって100名超の宴が延々と続きました(笑)。ライブでは300名超の人が集まってくれました。これ、沖縄あるあるだと思うんですけど、いつの間にか人が増えていかないっすか?
―― ほんと、イチャリバチョーデー(袖すり合うも他生の縁)だね(笑)。そして、こういう活動が認められて「宮古島大使」に任命
YAASUU 島の観光課の人もこの取り組みを応援してくれて、「宮古島大使」にも選任していただき、ほんと感謝です。これからさらに大きくなりそうだったけど、2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、中止せざるを得なくなりました。はやく収まって、またツアーも再開したいです。
―― そんな状況下において、宮古島を元気づけたいと、東京と沖縄を繋ぐ「宮古島ナイト」という配信ライブがスタートしました
YAASUU コロナ禍で疲弊する故郷「宮古島」をなんとか元気づけたいと思ったんです。同時に宮古島の音楽文化と不屈の精神「アララガマ魂」を世界に発信しようとリアル&配信ライブイベント「宮古島ナイト」を立ち上げました。基本は東京開催なんですが、2021年5月9日には沖縄本島の那覇市にあるライブハウスCyber-Boxにて「宮古島ナイト in 那覇」を開催しました。オンリーワン・アーチスト下地イサムさん、沖縄パンクシーンのパイオニア、光永光さん率いるバンドCHAIN’SOLE、ミャークフツ・ラップ・アーティストNcaan、後輩ラッパーの我琉、お笑い芸人のぴろんぴろん下里(映像出演)、そしてMCは、宮古島名物警察官型人形「宮古島まもる君」に扮して活動するリアルまもる君と、出演者、オール宮古島出身アーティストで、とても賑やかに開催することができました。みんなの熱いパフォーマンス、グッときました。「宮古島ナイト」は、これからも「アララガマ魂120%」で地元宮古島出身の先輩方や後輩たちとともに作り上げていきます。ぜひ、宮古島を応援してください! ワイドー(がんばれ)! 宮古島!!
コロナ禍だからといってヘコんではいられない!
―― 「宮古島ナイト」の他にも大型配信フェス「LEQUIOS FES シリーズ」の企画制作、「ミャークフツ(宮古の言葉)で歌ってみたシリーズ」の動画配信、宮古出身タレントとのコラボ動画配信企画「WONDERFUL LIFE」と、コロナ禍においても積極的に活動を続けてます
YAASUU コロナ禍だからといってヘコんではいられませんからね。今できることを一つひとつ形にしていければと思います。
LEQUIOS FES シリーズ
―― ではまず「LEQUIOS FES シリーズ」について教えてください
YAASUU 沖縄って、日本で最もアジアに近い場所ですよね。そこからアジア、世界へ発信するフェスを開催したいと思いました。だからフェスのタイトルも琉球の民を意味する「LEQUIOS FES シリーズ」と名付けているんです。「WATTA LEQUIOS(私たちは琉球の民)」を合言葉に集った、沖縄にルーツのあるミュージシャンたちを軸に、世界のアーティストと交流、発信しようというフェスです。アジア発ということを意識して、旧暦の暦の節目に開催してます。これまで正月、旧正月、清明節、そして「端午節」(ユッカヌヒー)と4回実施しています。
―― 2021年6月13日「端午節」(ユッカヌヒー)に開催した「LEQUIOS FES シリーズ」第四弾「レキオスハーリーフェスティバル」も熱かった
YAASUU 喜納昌吉さんとGWINKOさんとのユニット「KINA&GWINKO WORLDCHAMPLOO」や、韓国のNobrainなど総勢27組のアジアのアーティストが共演しました。回を追うごとに視聴者数も伸び、今回は4,300名超の同時視聴を記録しました。すごく可能性を感じているので、これからもどんどん広げていきたいです。
沖縄音楽を世界へ、キッカケはオリオンビアフェスト in 台北
―― アジア、世界を意識したキッカケは?
YAASUU 2018年の10月にオリオンビール主催の「オリオンビアフェスト」が台北で開催された際、僕も出演させてもらったんです。台湾の人たちも一曲目からすごく盛り上がってくれて、音楽の力ってすごい、もっと世界に届けたいと純粋に思ったんです。ウチナーンチュのネットワークも凄いですね。台湾にも県人会があり、沖縄の人が先頭をきってフェスを盛り上げてくれて、沖縄と台湾がひとつになりました。音楽と乾杯は、国境を超えますね、最高です! 実は、歴史的に見て、宮古島は台湾との交流が盛んで、僕の出身校である宮古高等学校と台北市立復興高級中学は姉妹校だったりするんです。僕も一度ホームステイの受け入れをしたことがあります。でも台湾で自分が歌うことは考えてもいなかったので、「オリオンビアフェスト in 台北」に参加させていただけたことに心から感謝です。オリオンビールにズミ! 乾杯!!