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疫学統計委の分析「不備が多数」と意見書 専門家ら、県に透明性を求める

2021年8月11日 06:00

 群星沖縄臨床研修センターの徳田安春医師や、世界保健機関(WHO)事務局長上級顧問を務めた渋谷健司医師らは10日、県の疫学統計・解析委員会による新型コロナウイルス感染状況に関するデータ分析や解釈に「不備が多数ある」とする意見書を発表した。

沖縄県庁

 科学的な分析がされず、データから飛躍した解釈が多いとして「県の感染症対策が場当たり的になる危険性がある」と問題視。「感染症のデータは命に関わる」と強調し、県に解析結果の科学的妥当性や透明性の担保などを求めている。

 委員会の位置付けや掌握範囲の不明確さも問題視。疫学・統計学的な分析は、感染動向を把握して適切な対応(施策)を取り、その効果を評価する上で最も重要な基本的な情報にもかかわらず「各委員の専門性を担保する情報がなく、文責も匿名で、施策の提案もしており、ガバナンスや手続き上、大きな問題だ」とも指摘した。

 不備の具体例には、同委員会が「学校PCR検査事業で週1303人を検査し陽性者が5人のみ」だったことを根拠に「子どもの多くが家庭内感染」と結論付けていることなど複数を挙げ、「疫学・統計学的推論が不適切だ」とした。

 意見書は徳田氏(臨床疫学)と渋谷氏(公衆衛生学)のほか調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表(社会学)の連名。近く知事と専門家会議座長宛てに送る。検証結果の詳細はこちらから。

 県は「意見書が届いてからコメントしたい」としている。

氏名や専門性 公表せず

 県は、疫学統計・解析委員会について、県立中部病院の高山義浩医師を除く構成委員の氏名や専門性を公表していない。同委員会の運営業務を所管する県ワクチン接種等戦略課によると委員は全6人。高山氏以外は県外在住も多いという。

 同委員会は、実効再生産数の推計など県内感染状況の分析を担う。県は毎週火曜に報告がある同委員会の分析結果を基に対策を議論したいとし、今週から定例の対策本部会議を毎週月曜から木曜に移した。

 県によると、同委員会は昨年度まで抗体検査に関する研究を担い、運営業務は科学技術振興課の所管だった。この事業終了に伴い、4月1日からワクチン接種等戦略課に所管が移ったが、分析結果の報告は、同課を経由せずに感染症対策課に届く。分析作業に関する委員への謝礼などは決まっておらず、10日時点で議事録などはない。

▶意見書の詳細 https://ipp.okinawa/2021/08/10/ekigakutokei-ikensho/

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