[ひろがる明日 SDGs]

絵本の制作費用を募っている「オニイタレント」の竹紫春翔さん(左)と絵本作家のHaijiさん=兵庫県芦屋市(平野秀一さん提供)

高校の野球部時代、男子部員に交じって練習する竹紫春翔さん=2007年6月、豊見城高校グラウンド

絵本の制作費用を募っている「オニイタレント」の竹紫春翔さん(左)と絵本作家のHaijiさん=兵庫県芦屋市(平野秀一さん提供) 高校の野球部時代、男子部員に交じって練習する竹紫春翔さん=2007年6月、豊見城高校グラウンド

 那覇市出身で、出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの竹紫春翔(ちくしはると)(本名・大城春香)さん(32)=神戸市=が13日までに、自らの生い立ちや母へのカミングアウト(告白)を描いた絵本「せかいにひとりだけのぼく」の制作費を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。幼少期から自分の性に違和感を抱き、苦しんだ体験が原点。「あの時、こんな絵本があったら救われたはず。人との違いに悩む多くの人たちに勇気と希望を届けたい」と意欲を見せる。(学芸部・新垣綾子)

 公共施設への寄贈や講演などにかかる費用を合わせ、目標額は120万円。支援は10月11日まで受け付ける。

小6で「人と違う自分」を確信

 竹紫さんは体は女性で心は男性のトランスジェンダー。幼い頃からスカートをはいたり、髪を伸ばしたりするのが嫌で、小学6年で女性の先生に好意を持ったのを機に「人と違う自分」を確信した。

 自身が何者か分からず、いじめにも遭って死が頭をよぎる辛い学生時代を過ごしたが、小学3年で始めた野球のプレー中は「男になれて、幸せだった」と振り返る。小、中、高校と男子に交じって白球を追い、23歳の時に受けた女子プロ野球チームの入団テストでは最終選考まで残るほどの腕前だった。

「自信を持って生きなさい」と受け入れた母

 母へのカミングアウトは25~26歳。家を出る覚悟で打ち明けたのに「私の子どもだから大丈夫。自信を持って生きなさい」と迷いなく受け入れてくれて、拍子抜けした。「ありがたかった。僕らしい人生を胸を張って歩もうと決めた」

 現在は関西を拠点に「オニイタレント」や講演家の肩書で活動している。「オニイ」を名乗ることには、LGBTなど性的マイノリティーの人々に限らず「誰もが個性を隠さず生きていける世の中にしたい」との思いを込める。

 絵本は兵庫県西宮市在住の絵本作家Haiji(ハイジ)さんと一緒に制作中。「古里の沖縄の皆さんにも知ってもらい、より多くの人に読んでほしい」と願う。支援はCFサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」から。支援者らには来年5月をめどに完成本を届ける予定。