バイデン米政権は、外交政策で「ルールに基づく国際秩序」という言葉を多用する。国際的な法や制度の尊重という意味だが、そこに米軍基地が絡むとき「例外」が生まれるようだ。

 インド洋に浮かぶチャゴス諸島のディエゴガルシア米軍基地と聞けば、アフガニスタンやイラクに向けて戦闘機が発進する映像を思い出すかもしれない。国連総会は2019年5月、同諸島を領有する英国に、植民地統治を終え撤退するよう求める決議を採択した。

 同諸島は英国の植民地モーリシャスの一部だったが、英国はモーリシャス独立前の1965年、同諸島を切り離し、翌年に同諸島最大のディエゴガルシア島全域を米国に貸与した。英国は同諸島の全住民を強制的に移住させ、米軍が一大軍事拠点を築いた。

 モーリシャスは、独立後も英国が同諸島を分離したのは違法と主張。国際司法裁判所は2019年2月、モーリシャスの主張を認め、英国にチャゴス諸島の統治権放棄を促す勧告的意見を出した。前述の国連総会決議がこれに続いた。

 しかし英国は、これらは「法的拘束力を持たない」と主張し、ディエゴガルシア基地は英国と世界の人々をテロの脅威などから守っていると反論した。

 納得できないモーリシャスは今年7月、米国に書簡を送り、助けを求めた。...