沖縄タイムス+プラス プレミアム

「必ず3着に入ってこい」この場に立てなかった盟友を思い涙 “驚異の50歳”、終盤に勝負

2021年8月28日 11:01有料

[聖火台]

 男子400メートル決勝の最終コーナーで50歳の上与那原寛和が3位に躍り出ると、ラスト100メートルの直線でライバルたちを一気に振り切った。パラリンピックでは県勢初となる2個目のメダルをつかみ取った喜びと、この場に立てなかった仲間の悔しさがこみ上げ、レース後は涙があふれた。

 仲間とは、大会直前に障がいの程度が軽いクラスに変更され、同じT52での出場がかなわなくなった伊藤智也(58)のことだ。合宿などではいつも切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲だった。

 上与那原は伊藤のクラス変更にショックを受け、泣いた。そしてパラリンピック記録を持つ伊藤のアドバイスを、決勝で忠実に実行することが恩返しだと気合を入れ直した。

 伊藤の助言は、スタートから200メートルでスピードを上げすぎず、抑えめに入りながら300メートル地点で修正し、ラスト100メートルへとつなげることがポイントだった。余力を残すことで終盤の失速をなくし、ゴール前でライバルたちを置き去りにした。伊藤から授けられた作戦通りのレース展開となり、悲願のメダルへとつながった。

 この日の早朝、選手村で同部屋の伊藤から「必ず3着に入ってこい」と送り出され、それに応えることができた。「切磋琢磨しながら改善すべき点を指示してもらい、それを貫き通したことで良い走りができた」と振り返り、“チーム伊藤”でつかんだメダルだと誇った。共に戦ってきた佐藤友祈も逆転で金メダルに輝き、喜びが倍増した。

 「形あるものを目指す」と言い続けてきた上与那原にとって、13年ぶりのメダルに感慨深げ。「応援してくださる方々に形あるものとして一つ恩返しできたのかなと思う。やっぱりうれしいの一言」と喜んだ。

 29日には得意とする1500メートルの決勝に出場する。「全力で走るだけ。形あるもの、いい色を目指したい」。北京で銀メダル、東京の1種目目で銅メダルをつかんだ上与那原が、さらなる高みへ加速する。(溝井洋輔)

59秒95、進化し続ける50歳

 上与那原寛和が400メートル決勝でマークした59秒95は、パラリンピック4大会連続出場の中で最も良いタイムだった。...

パラリンピック沖縄選手の記事一覧 ≫

連載・コラム
記事を検索
注目コンテンツ
復帰のエピソードお寄せください
復帰のエピソードお寄せください
日本復帰にまつわる体験や、半世紀を振り返っての思いなどをお寄せください。
SDGs企画「未来へ#いのちを歌おう」
SDGs企画「未来へ#いのちを歌おう」
Kiroro玉城千春さんが沖縄県内の小・中学校を訪ねて、夢、命の尊さを届けます。
不器用トーク・アーカイブ
不器用トーク・アーカイブ
不器用トークのアーカイブページです。毎月1回、まさに今、現場で取材している記者たちが、それぞれのテーマについて熱く語ります。
楽でお得でポイント高し!
楽でお得でポイント高し!
「オール電化」はセイカツをどうカエルのか?護得久栄昇先生がオール電化生活の安心・お得な魅力を探った。
”コトバチカラ”特設サイト
”コトバチカラ”特設サイト
人々を勇気づけるアスリートのコトバを発信している特設サイト
命ぐすい 耳ぐすい
命ぐすい 耳ぐすい
沖縄県医師会の各分野の医師による医療・健康に関するコラム
胃心地いいね
胃心地いいね
沖縄タイムスの各市町村担当の記者が、地域で話題のお店や人気グルメを食べ歩きます。
アクロス沖縄
アクロス沖縄
東京発 各分野で活躍する情熱県人らを紹介
ワールド通信員ネット
ワールド通信員ネット
世界各国の沖縄県系人の話題を中心に、海外通信員が各地のニュースをお届けします
マンガ家大城さとしが行く!沖縄のじょ~と~企業探訪
マンガ家大城さとしが行く!沖縄のじょ~と~企業探訪
おばあタイムスでおなじみのマンガ家・大城さとしさんが長編マンガで沖縄の企業を紹介するシリーズ企画です。