新護岸を巡り改めて浮き彫りになったのは、建設ありきで既成事実をひたすら積み重ねようとする国の強引な姿勢だ。

 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は新たな護岸の造成に着手した。

 工事が始まったのは、大浦湾側の「N2」と呼ばれる全長250メートルの護岸だ。

 新基地建設は大浦湾側に軟弱地盤が見つかったことで大幅な設計変更を余儀なくされている。

 防衛局は地盤の改良工事のため、県へ埋め立て変更承認申請を提出しており、現在県による審査が進められているところだ。

 今回着手したN2は軟弱地盤にかかっていないとし、現行の埋め立て承認に基づいて工事を進める考えだが、N2は埋め立て用土砂の陸揚げにも利用する方針だ。

 軟弱地盤の改良工事のためには当初の予定を大幅に上回る大量の埋め立て用土砂が必要になっている。そこでN2整備によって土砂の搬入量を増やし、新基地建設を加速させる国の狙いがうかがえる。

 軟弱地盤の改良工事とN2護岸の整備が連動しているのが明白である以上、埋め立て変更承認申請に対する県の判断を待つのが筋だ。その前に工事を強行するのは乱暴というほかない。

 玉城デニー知事は「拙速な工事は県民感情的にも理解できない」と国の姿勢を批判した。

 直ちに新護岸の工事を止めるべきである。

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 サンゴを巡る国の対応も強引だ。

 N2予定海域付近にあった小型サンゴ約830群体は、防衛局が今月11日に移植を完了した。

 県はサンゴの生残率を少しでも上げるため、高水温期や台風時期を避けるよう移植に条件を付けていた。一方、防衛局は「総合的に判断している」との立場で意見は対立している。

 移植に対する県と防衛局の解釈には開きが大きい。少なくとも双方で考え方をすり合わせ協議する必要があったはずだ。移植後のサンゴがどう育つか見極めるためにも工事は止めるべきだ。

 N2の付近には大型サンゴなどがまだある。防衛局はこれらのサンゴには影響を与えることなく工事を進められると判断した。環境監視等委員会も了承したというが、どのような根拠に基づくのか。

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 岸信夫防衛相は「普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現すべく工事を着実に進めたい」と述べた。だが、工期は延び、国の計画でも返還時期は2030年代へと大幅にずれ込んだ。これでは沖縄の負担軽減にはつながらない。

 国の強権的姿勢は沖縄の民意を無視するもので地方自治の本旨からも逸脱している。

 護岸着工の前日、在沖米海兵隊は普天間飛行場から有機フッ素化合物PFOSなどを含む汚水を浄化したとして基地外へ放出した。日本政府や地元の中止要請は無視され抗議も受け付けなかった。

 米軍や米軍基地が全てに優先される沖縄の状況は異様だ。