内閣府沖縄担当部局は、2022年度の沖縄関係予算の概算要求を2998億円とすることを決めた。要求額が3千億円を下回るのは12年度以来となる。

 新型コロナウイルス感染拡大への対応などから、各省庁全体では過去最大の111兆円規模となる中での減額要求だ。違和感は拭えない。

 コロナ禍の影響は全国に及んでいるが、観光が主産業の県内ではより深刻だ。

 県がまとめた20年度の県内総生産(GDP)の実質成長率は、復帰後最大の落ち込みとなるマイナス9・6%となる見込みだ。下落率はマイナス4・5%だった全国の倍以上となる。雇用も、7月の全国の完全失業率(季節調整値)は2・8%と改善傾向だが、県内は4・3%(原数値)と高止まりが続く。

 3千億円台というのは13年末、当時の安倍晋三首相が、名護市辺野古の新基地建設を容認した仲井真弘多知事に対し、21年度まで確保すると約束した水準だ。

 わずかとはいえ、3千億円を下回る要求水準とすることで、新基地反対を掲げる玉城デニー県政に対し国として政治的な圧力をかける意図が透けて見える。

 しかし沖縄振興は、今年の「骨太方針」で政府自身が打ち出したように「国家戦略」であり、「日本の経済成長の牽引(けんいん)役」との位置付けだったはずだ。観光は裾野の広い産業であり、経済のV字回復を目指すのなら、むしろ増額するのが国の役割である。

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 本年度当初予算と比べ総額が約12億円減り、県や市町村が増額を求めた一括交付金が据え置かれる中、沖縄科学技術大学院大学(OIST)関連経費は約34億円増え約224億円となった。沖縄関係予算の約1割を占める。

 OIST経費を沖縄関係予算に含めることは当初から疑問視されてきた。今後のOISTの在り方について有識者検討委が先月まとめた報告書は、高い国際的評価の一方で「地域に根ざした研究と必ずしも方向性が一致しない」「今後は外部資金の割合を増やすべきだ」と指摘する。

 問題は、OIST経費が沖縄振興につながっているとの県民の実感が薄いことだ。むしろ沖縄予算へのしわ寄せが懸念されており、国会でその在り方を議論すべきだ。

 「沖縄・地域安全パトロール事業」(通称青パト)には当初予算と同じ7億3千万円が計上された。16年の米軍属による女性殺害事件を受けた対策だが、通報の4分の3は泥酔者の発見という。事業自体を見直す必要がある。

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 子どもの貧困対策は当初予算比約4億円増の18億円余りが計上された。新規事業としては産業人材育成、テレワークの誘致やカーボンニュートラル社会実現に向けた調査事業なども盛り込まれた。これらは沖縄にとって重要な課題であり、一定の目配りがされたことは評価できる。

 年度末に期限を迎える沖縄振興特別措置法や近く行われる衆院選など、政治動向に左右されやすい中での予算編成となる。沖縄振興への視点が問われている。