カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡り、収賄と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の罪に問われた衆院議員の秋元司被告に、東京地裁は懲役4年の実刑判決を言い渡した。

 現職の国会議員が贈収賄事件で実刑判決を受けるのは、異例である。政治的責任は極めて重大だ。

 判決によると、秋元議員はIR担当の内閣府副大臣だった2017年9月~18年2月、IR事業参入を目指した中国企業から計758万円相当の賄賂を受領。保釈中の昨年6~7月に、贈賄側に虚偽の証言を依頼し、報酬として3500万円の提供を持ち掛けた。

 無罪を主張した秋元議員に対し、裁判所は、贈賄側の証言は客観的に裏付けられているとし、買収は秋元議員が主導したと認定した。その上で「至れり尽くせりの接待を受け、特定の企業と癒着した。公人としての倫理観はおろか、最低限の順法精神すら欠如している」と断罪。さらに、証人買収を「前代未聞の司法妨害」とその悪質性を指弾した。

 弁護側は、判決を不服として控訴した。

 秋元議員は、16年のIR整備推進法成立に衆院内閣委員会委員長として関わり、わずか3日間、計6時間の審議で採決に踏み切った。 

 国会での熟議の機会を奪い、行政の公正性だけでなく、司法までもゆがめようとした。

 議員の地位を失わせるのは本来慎重であるべきだが、一審とはいえ、実刑という重い判決を考えると、職にとどまるべきではない。

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 安倍晋三政権が、成長戦略の目玉と位置付けたのがIR推進だ。それを自民党議員として支えたのが、秋元被告だ。

 今回の判決を受け、加藤勝信官房長官は「政府として、コメントは差し控える」、自民党の森山裕国対委員長は、衆院選挙などへの影響を問われ「もう党員ではないので」と言及しなかった。

 離党したとはいえ、有権者に対する説明責任は果たされていない。

 昨年9月の菅義偉内閣発足後も「政治とカネ」の問題で、4人が自民党を離党、国会を去った。鶏卵業者から賄賂を受け取った収賄罪に問われている吉川貴盛元農相、公職選挙法違反で有罪判決を受けた河井克行元法相、案里前参院議員、菅原一秀前経済産業相。いずれも菅首相と近しい関係にあった。

 政治や行政が業界や業者からのカネでゆがめられたり、票が金で買われることがあれば、民主主義は成立しない。

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 安倍前首相、菅首相は、閣僚などの不祥事のたびに、「任命責任はある」と繰り返したが、責任を具体的な行動で示してこなかった。

 トップが説明も厳しい処分も求めず、疑惑を向けられた身内をかばうようでは、国民の政治不信は深まるだけだ。

 自民党政治が断ち切れていない、業界との癒着など政治とカネの「負の遺産」を、どう清算するのか。

 17日に告示される自民党総裁選の候補者は、トップとしての責任の取り方や再発防止策を、きちんと示すべきだ。