政府は、沖縄を含む19都道府県の新型コロナウイルス緊急事態宣言を30日まで延長することを決めた。ワクチン接種が進む11月ごろをめどに、行動制限を緩和する基本方針も打ち出した。

 沖縄の延長は5度目となり、期間は約4カ月に及ぶ。感染者は減少傾向が見られるものの、人口10万人当たりの新規感染者数は、依然全国最多が続いている。10代や20代の感染も増加しており、医療体制が逼迫(ひっぱく)する状況下で、防止対策を緩める選択肢はない。

 一方、政府が示した行動制限緩和の方針は、ワクチンの2回接種か陰性証明があれば、宣言下でも県をまたぐ旅行やイベント開催などが可能となる。感染対策を保証する第三者の認証を受けている飲食店を対象に、営業時間や酒類提供の制限を緩和することなども盛り込んだ。

 長引くコロナ禍で社会活動の制限が続く中、疲弊する経済を徐々に再開させながら、感染対策と両立する道筋を示す必要性は理解できる。

 だが、宣言下での緩和策の提示に専門家からは「デルタ株が広がり、ワクチン接種した人が行動の制限を緩和できるという前提が崩れている」との指摘もある。対策の緩みを生むことにならないか。

 まずは「切り札」となるワクチン接種を若者や働き盛り世代に確実に促すことを優先するべきだ。病院に入院できない患者の受け皿となる臨時医療施設や酸素ステーションの拡充など自治体への支援も迅速にしてほしい。

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 県内で懸念されるのは、ワクチンを打てない未成年者の感染者の増加だ。

 玉城デニー知事は9日の会見で、未成年者が陽性者全体の3割程度に達しているとして、「子どもたちを守るために大人ができるのは、感染対策を徹底することだ」と訴えた。抗原検査キットの活用など新たに「子どもを守るプロジェクトの推進」を掲げた。

 20、30代を対象にした予約なしの優先接種も始まったが、初日の8日は県内2会場で400人の枠に対し、27人と低調だった。改めてワクチンに対する正しい情報の発信と周知の徹底が必要だ。

 知事は今回の延長期間で対策を徹底できるかが「大きなヤマ」とも述べた。医療体制の改善を前提とした経済活動再開の見通しの実施もこれに懸かっているとする。

 いま一度、県民と危機感をいかに共有できるかも問われている。

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 菅義偉首相は延長を決めた9日の会見で、就任1年間のコロナ対策について「国民が安心と希望を持てる未来のために道筋を示すことができた」と強調した。

 だが、宣言が繰り返され、対策は後手に回り、国民の目からは「道筋」は見えにくい。コロナ対策の「不信」を招いたことにも納得できる説明はなかった。

 自民党総裁選への不出馬の理由を「コロナ対策に専念する」と明言したからには、早急に国会を開き議論を深めるべきだ。総裁選で「政治空白」を生じさせるようなことは許されない。